しののめ

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【空が泣く】

 ある日の昼下がり。日用品の買い物がてら、近所のスーパーを歩いていたところ、近くの棚でお菓子を選びながら会話をしている親子がいた。

 「ほいくえんでね、そとであそんでいたら、わーって、そらがないちゃった」
 「そうだねぇ、さっきるう君お迎えに行った時お洋服濡れちゃってたもんね」

 お菓子何食べようか?という親に対して、るう君と呼ばれた子供は、これがいい!と飴の袋を親へ差し出した。パッケージには虹が描かれた飴玉が描かれている。

 「そらにもあげるの」
 「どうやってあげるの?」
 「てるてるぼーずみたいにするっ」

 そんなやりとりを横目で聞きながら私は虹色が描かれた飴袋を手に取る。

 子供はつくづく大人にはない感性を持っている。私もあの親もかつてはあの子供のような感性を持っていた筈なのだが、一体いつから、なくしてしまったのだろうか。

 にわか雨に慰めようなんて気持ちにはなれない。
 でも、たまには空を労っても良いかな。

 そう思い、私は飴袋を買い物かごへ入れた。
 
 流石に、てるてる坊主のように吊るしたりはしないけれど。

9/16/2024, 10:29:24 AM