【時間よ止まれ】
君と笑っていられる
この瞬間が ずっと
続けばいいのに と
願った 数年前
祈るように
シャッターを切った
君はもう いない
いない
それでも時は進む
砂時計の砂が落ちるのが
止まらないように
それでも 願わずには
いられない
君を思い出には
したくない
写真を握る手が
震える
【花畑】
花冠を被り
皆で手を繋げて
輪になる
はなのわ
ひとのわ
はたけのわ
輪はやがて離れ
輪っかはなくなる
冠になった花の隙間は
また次の季節には咲く
【空が泣く】
ある日の昼下がり。日用品の買い物がてら、近所のスーパーを歩いていたところ、近くの棚でお菓子を選びながら会話をしている親子がいた。
「ほいくえんでね、そとであそんでいたら、わーって、そらがないちゃった」
「そうだねぇ、さっきるう君お迎えに行った時お洋服濡れちゃってたもんね」
お菓子何食べようか?という親に対して、るう君と呼ばれた子供は、これがいい!と飴の袋を親へ差し出した。パッケージには虹が描かれた飴玉が描かれている。
「そらにもあげるの」
「どうやってあげるの?」
「てるてるぼーずみたいにするっ」
そんなやりとりを横目で聞きながら私は虹色が描かれた飴袋を手に取る。
子供はつくづく大人にはない感性を持っている。私もあの親もかつてはあの子供のような感性を持っていた筈なのだが、一体いつから、なくしてしまったのだろうか。
にわか雨に慰めようなんて気持ちにはなれない。
でも、たまには空を労っても良いかな。
そう思い、私は飴袋を買い物かごへ入れた。
流石に、てるてる坊主のように吊るしたりはしないけれど。
【君からのLINE】
昨日の夜に送られてきたメッセージを、今日の昼休みに気づいた。スマホの待ち受け画面の通知で、だ。
『こんばんは〜起きてる?』
こんな文だ。
「いや、もう昼だしな……」
私は出先のビルの壁際に背中を持たれかかりながら、通知メッセージをに軽く触れて削除する。送り主は、学生時代からの友人で、お互い働くようになってからも時々連絡を取り合っている間柄だ。
単なる軽い軽みなのか、それとも何か話したいことがあるのか。このメッセージだけでは分からない。
そもそも友人は昔から言動もメールも言葉少なめなので、こちらが色々聞かないと何を考えているのか分からない不思議なコだった。
この前も『やっほー』『元気?』の後に、いきなり人生相談に近い内容を話されたし、いまいち掴めないのだ。まぁ、大人しいコなので一緒にいて疲れないからそこは有難いのだけれど。
今日の夜、仕事終わりにでも電話してみるかな。
LINEのメッセージ画面を開くのは、もう少しだけ良そう。
メッセージはどう返したら良いか、未だに答えが出ないから。
【命が燃え尽きるまで】
剣を 銃を 刀を
握るのをやめない
国の為 とか
そんな大それた
理由なんてない
自分のために戦う
今 生きたいから
戦う
それだけだ