しののめ

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9/4/2024, 1:18:04 PM

【きらめき】

 あなたには好きなことや好きな物はあるだろうか。もっと言うと、子供の頃に満足に出来なかったことはあるだろうか。

 私の場合は、スーパーの駄菓子コーナーなどに置いてある、一個二百円ほどで買えるあのお菓子付きのペンダントだ。昔は百円台で買えたらしいが、この商品も例外なく値上げし、今に至るというわけだ。

 私の小さい頃はこのペンダントにはあまり馴染みがなく、買ってもらえる機会が殆どなかった。そもそも菓子自体もあまり買える余裕がなく、景気良くお金を手入れたとしても、腹を満たす容量重視で菓子を選んでいたため、微少のお菓子付きペンダントを買おうとは当時はならなかった。

 現在は大人になり、金回りも昔よりは良くなった。元々可愛いものや綺麗なものが好きな私が、このペンダントにハマるのは容易に想像に難くなかった。

 宝石風にカットされたアクリル
 アクリルの縁の柄や模様
 その柄や模様の素材やカラー

 いちシリーズに何種類も展開していて、しかもパッケージがランダム、加えてレアと呼ばれるペンダントもあるものだから収集癖でなくても何個も買ってしまう誘惑がある。集め始めて何年か経つが、宝石のコレクションを一つにまとめ眺めると壮観である。


 昔はなかなか手が届かなかった煌めきは、今は私の手の届くところにある。

 大人になったのか、子供のままなのかは分からないが。

9/3/2024, 11:06:54 AM

【些細なことでも】

 調べることが好きなので
 検索エンジンとはマブダチ
 今日も何回 君に
 尋ねただろう

 電子は便利で良いのだが
 冊子も良いものだ

 辞書や辞典が隣にある
 暇な時 の 適度な頁
 
 未知の言葉との邂逅
 
 ポケット辞典に詰まっている
 まだ見ぬ 言の葉を
 持ち運んで
 図書館へ 行きたい

9/2/2024, 10:47:26 AM

【心の灯火】

 灯を宿すために漂う狐は
 今日もどこかで
 がらんどうな器を 探している

 あの器は未熟で
 あの器は駄目だ
 あの器はもう別の狐が灯している


 夜の繁華街を通りすぎる
 ガラの悪い若者たちの中に一つ
 良い器が混ざっていた

 狐は器に近づき
 手の平に火の玉を作ってみせ
 それを器に投げ入れた
 
 からっぽの胸に
 照らす炎は ゆらゆらと燃える

 胸内に何かを抱えた者にのみ
 心に火がともるのだ

9/1/2024, 1:44:25 PM

【開けないLINE】

 スマホのホームをみた
 LINEの通知が来ていた
 二件

 そのまま来たメッセージを 読もうにも
 一件は 僕が送った内容についての回答
 もう一件は スタンプ と思われる

 通知だけでは全文を読めない

 どうしよう
 開きたくない でも開かないと
 でも 開きたくない

 あの人に 想いを告げた
 
 本当は直接 言いたかったけど
 会えた時に 結局言えなかったから
 続きはLINEでって 言ってしまった
 情けない

 心臓の鼓動が早くなる
 
 深呼吸して 落ち着いたら
 思い切って 開こう

 

8/31/2024, 2:11:52 AM

【香水】

 貴方の残り香を追いかけて
 何を言おうとしたか
 頭が真っ白になる
 
 甘くて 艶やかで
 それでいて少し苦い
 

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