【心の灯火】 灯を宿すために漂う狐は 今日もどこかで がらんどうな器を 探している あの器は未熟で あの器は駄目だ あの器はもう別の狐が灯している 夜の繁華街を通りすぎる ガラの悪い若者たちの中に一つ 良い器が混ざっていた 狐は器に近づき 手の平に火の玉を作ってみせ それを器に投げ入れた からっぽの胸に 照らす炎は ゆらゆらと燃える 胸内に何かを抱えた者にのみ 心に火がともるのだ
9/2/2024, 10:47:26 AM