陽炎に包まれて、お前は立っていた。


お前は涼しそうな顔をしている。
けれど、その首筋を流れる汗が、暑さを物語っていた。



お前の汗が、白い肌が、光を反射する。
白飛びと言ってもいいほどに、光る。


その眩しさは、もはや現実のものではなかった。







頭がふわふわする。
視界はぼやけていくのに、目の前の光から目が離せない。
思考が働かないにも関わらず、あの光に向かってただ足だけが動いた。





その光を掴めないまま、やがて、綺麗な記憶を残して、視界が闇に覆われた。





【真昼の夢】
＿＿＿＿＿
診断結果:熱中症
暑さ対策はしっかりしましょう。

二人だけの空間！！！
あなただけの視界！！！！
とっても素敵な世界！！！！！！



あなたも嬉しい！！？？


なら、やることは一つ！！！








二人だけの永遠を生きるのです！！！！！！！！





【二人だけの。】

＿＿＿＿＿＿＿
ちゃんと相手の意思確認をしてからなの偉いね。

「夏らしいこと」といって一番に出てくるのが線香花火なの、ささやかでかわいいね。




【夏】

…ん、なんか涼しい音がする。
透き通って、流れるような、うーん…
風鈴の音かな。
でも、風鈴なんて吊るした覚えないけど…





って、…なんだ、お前の声か。
はーぁ、全く紛らわしい。
あ？そう思ってるのは俺だけだって？
だろうな、でも俺にはそう聞こえるからしゃーない。



そんなお前に、熱い抱擁を…
え？脈絡がねえ？気分なんてそんなもんだろ。

ほら、こっちこい。
暑いって言っても離してやんねえから。





【風鈴の音】
＿＿＿＿＿
イチャイチャしやがって。

残酷な現実を前に思い浮かぶのは、ありえないほど平和な情景ばかり。
想うだけ想って、実現なんてできやしないのに。



【心だけ、逃避行】