アイツに出逢って初めて、心が動いた。
初めて、誰かの顔に釘付けになった。
初めて、一人の人間の言動に一喜一憂した。
初めて、幼稚な嫉妬をした。
初めて、人に未練を残した。
初めて、手放せない愛を知った。
初めて、忘れたくても忘れられない愛を知った。
初めて、愛に苦しんで泣いた。
諦められなかった。
一方通行の気持ちだと、
返ってくることはないと、分かっていたのに。
それは、あまりに青かった。
青く、苦しい春だった。
【青い青い】
ふと立ち止まって、振り返ってみれば、
遠く、遠くのほうに、おぼつかない足跡。
よたよた、ふらふら、シラフの千鳥足が続いていた。
そこに合流した、もう一つの足跡。
力強く、地面を踏みしめている。
それにつられるように、自分の足跡も、歩幅が整い、しっかりと地面を蹴っていた。
そして、足元に程近いところには。
二人歩幅を合わせた、二人三脚のような足跡があった。
不意に、視界の端に何かが映る。
視線をやると、隣にいる相棒が、手を差し出して待っていた。
迷いなく、その手を握る。
そして、軽い足取りで、二人三脚の足跡を地面につけながら、また歩を進めた。
【軌跡】
______
人生の歩み。
好きではないというと、嫌いなの?と言われ、
嫌いじゃないというと、好きなんだ、と言われる。
違うんだよなあ。
好きにはなれないけど、特別嫌ってるわけではないし、
嫌いになれないと言いつつ、別に好きなわけでもない。
どっちつかずの感情があるのが、人間だ。
0か100かで物事をはかるべきではない。
という、一個人の考え。
【好きになれない、嫌いになれない】
白々と明けていく夜。
光に照らされる、その顔は。
陶磁器のような肌に、ガラス細工のような瞳。
もちろん比喩だが、実際に作り物だと言われたら、何も疑わず信じてしまいそうな美しさで。
ガラス細工のような瞳が、夜明けの光を受けて輝く。
見つめていると、その瞳が、きちんと焦点を合わせて、こちらを見た。
そして、陶磁器のような肌がゆるんで、柔らかな笑みをつくったものだから。
自然と、涙がこぼれてしまった。
【夜が明けた。】
ふとした瞬間に出るアイツの反応や仕草が、あまりにかわいいから。
愛おしいから。
他のヤツに見せたくなくて、アイツが出かける時に「気を抜くなよ」なんて言ってしまったけど、多分無理だろうな。
【ふとした瞬間】