いつ死ぬかも分からない環境で生きてきた自分。人生における幸せなど、微塵も期待していなかった。
特に、人間関係の幸せ。
だから、誰と接するときも、毎回、今生の別れをすることを覚悟し、
別れの挨拶も、「じゃあな」と、未練を残さない言い方をしていた。
それなのに。
同じ境遇で生きてきたはずのアイツに出会って、すっかり変わってしまった。
アイツと過ごして初めて、人と別れることに未練を感じた。
それに、アイツは別れる時、明日があることを確信しているような顔で「またな」と言う。
そしてその言葉通り、またアイツに会えることに、幸せを感じてしまって。
いつもどおり「じゃあな」と返したら、二度と会えなくなりそうで。
いつしか別れの挨拶は、未練がましい「またな」に変わった。
【bye bye...】
大切な景色の思い出を絵におさめる。
その全てに、君の姿を付け足して。
「全部に描かなくてもいいのに」
と君に言われたけど、
「この絵を未完成のまま終わらせるつもり?」
と返してやった。
【君と見た景色】
「大切なものが無くなった」
と言われたので、仕方なく一緒に探すことにした。
家全体をくまなく探す。
普段見ないところまで注意深く見て、ずいぶん長い時間探したのに、一向に「見つかった」と言わない。
「なあ、一体どこにあるんだよ?」
苛立ち混じりに聞いたら、
「ここ」
そう言いながら、抱き締められた。
なんだよ、
人がせっかく苦労して探しまわったのに、
「無くなってなんかねえじゃん…」
【どこ?】
自分が言う「大好き」に、どれくらいの気持ちが詰まっているか、アイツは知らないし、
アイツが返す「大好き」に、どれくらいの気持ちが詰まっているか、自分は知らない。
でも、互いにちゃんと想いのこもった「大好き」を持ってる。
その事実だけで十分。
【大好き】
友人には、好きな人がいた。
けれどその人は、他に好きな人がいた。
だから、好きな人がうたた寝してるところにそっと告白して、気持ちを諦めた、と。
話す友人は、いつもと変わらない調子だった。
それならと、ある日、机に突っ伏して寝ている友人、もとい、好きな人の耳元で、「愛してる」と呟いてみた。
気持ちは消えなかった。
【叶わぬ夢】
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叶わぬ夢、叶わぬ恋を、諦めるための行動。
けど、それで諦められるなら、苦労してない。