『朝日はあったかいねぇ』
幼いころ、抱き締められながら母によく言われた言葉。
あの頃は、母にそういわれることが嬉しかった。
小学校にあがったころ、そんな母が事故で亡くなった。
死を理解していなかったあの頃でも、もうあの言葉を聞くことはないのだと子供心に気づいて、どうしようもなく悲しくなって、三日三晩泣き続けた。
あれから、小中高と、あの言葉を一度も聞くことなく生活してきた。
それなりに充実した生活を送って、恋人もできて、もうあの言葉のことも忘れかけていた。
けれど、何度目かのデートの別れ際に恒例となっていたハグをした時、恋人が言った。
「朝日って、あったかいな」
約10年ぶりに聞いたその言葉。
母の姿を思い出して、恋人もさらに愛おしくなって、「ありがとう」と言いながらしばらく泣いた。
【朝日の温もり】
あ、
また間違えた。
こっちが正しい路だったのか。
何度も繰り返したバッドエンド。
どれだけ進んでも、結局は最初(タイトル)に戻される。
慣れた手付きで、間違えた選択肢の記憶(セーブデータ)を消す。
新しい人生(ニューゲーム)。
今度は間違えないといいけど。
【岐路】
「オレ、最悪の人間になる」
この世の全てを滅ぼしてでも、お前を守るから。
神に誓う。
毎日同じ言葉を聞かせてきた。
今までは何の反応もなかったが、やっと声が届いたらしい。
カプセルの中の彼女は、「ありがとう」と静かに唇を動かした。
【最悪】
この狭い空間で、二人寄り添って過ごせたら、どんなにいいか。
【狭い部屋】
失恋した。
気さくで、笑顔がかっこよくて、温かいひだまりのような人だった。
そう思っていた。
けれど蓋を開けてみればその男は生粋の浮気者で、私を含め5股していた。で、そのうち3人と子供を作っていた。
ブランド物をよく買ってくれていたが、もちろん全員同じものをもらっていたし、なんなら偽物もあった。
そんなクズみたいな男が、私の大嫌いな女とくっついた。
女からは「失恋おめでとう♡」と嫌味たっぷりに言われたが、むしろこっちが「クズのお世話頑張って」と言ってやりたくなった。
失恋した。けれど悲しくはない。清々した。
あんな男別れて正解だし、女が破滅に向かうのを高みから眺められるし、
何より、もっといい人を見つけたから。
【失恋】