そよ風。
通りすぎてくそれを感じながら目をつぶる。
ゆらゆら。
さらさら。
体が崩れて、同化して、流れていって…
あっ。ごめん。気づかなかった。
今ね、風になってたの。
【風に身をまかせ】
好きな人に対して、心臓が跳ねる時。
あれは、心臓が「好きだ」って叫んでるんだと思うんだ。
ってことで、オレの心臓の音、聞いてみ?
結構早いっしょ。
今ね、めっちゃ叫んでる。オレの心臓。
そんだけお前のこと好きってこと。
「…それが君の告白?」
「……うん」
「独特な感性だね。しかも君、いきなりこういうことするんだ」
「…ごめん、それは、文脈的に、」
「そういうの、嫌いじゃない」
「!!じゃあ付き合っ」
「それは考えさせて」
「…」
【愛を叫ぶ。】
あれは事故だったんだ。誰も悪くない。
もう忘れよう。きっとアイツももう忘れた。
そう思うほど、
あの時触れた柔らかい感触が、頭に、唇に、こびりついて離れない。
片思いしている男が相手だからなおさら。
無意識に唇をなでる。
ほんの少し、心が痛かった。
【忘れられない、いつまでも。】
明日世界が終わるなら、それまでに、
大体の人が、色々やりたいこととか決めると思う。
それを今日全部やって、明日が来たとして、
『明日』が来たのになかなか終わらんな、世界、とか思いながらちょっと安心して次の計画を立てたりしてるときに、突然世界が終わったりする。
もし『明日』の中で終わる時間が決まっていたとして、じゃあそれまでに何々をやろう、って決めて、
それが以外と早く終わってちょっと時間が余って、「あー、この時間でまだなんかできたんだろうな」とか思ってたら世界が終わる。
まあ、んーと、何が言いたいかっていうと、人間、後悔が付き物だけど、できるだけしないでいこうぜって話。
「なんだそれ」
「知らね、なんか思い付いた。でも元気出たっしょ」
「別に」
「…」
「…でもありがと」
【明日世界が終わるなら】
いつも上機嫌で、うざ絡みしてきて、バカで、距離近くて、短気で、へらへらしてて、
でも、ふとした笑顔がかわいいヤツ。
そんなアイツと出逢わなければ、変わらなかった心がある。
ありがとう。俺を永らえさせてくれて。
いつもうざがって適当にあしらってるけど、ホントはお前のこと、そんなに嫌いじゃない。
なんて、こんな恥ずいこと絶対言わねえけど。
【君と出逢って】