恋人の涙を、飲んだ。
毎日一緒にいるのに、「寂しい」と言ってあまりにも泣くから。
その雫を、指ですくって、
唇につけた。
恋人は、最後の雫を落として一瞬固まり、やがて状況を理解したのか真っ赤になって、また固まってしまった。
かわいいな、と他人事のように思って自分の唇をなめた。思ったよりしょっぱくなかった。
【雫】
君さえいれば、あとは何もいらない。
そういって、うずくまって泣きじゃくる男。
イケメンでもない、体格も大して良くない。
ことごとくタイプじゃないこの男に、俺はある種の興奮を覚えた。
男のパサついた髪を撫でる。
びくりと肩を震わせて上げられた顔は、やっぱり俺に何の感情も与えない。しかし興奮だけは異常なほどに駆り立てられる。
コイツは俺のどこに惚れたのだろうか。
顔?体?それとも、上辺だけの優しさ?
まあそんなことはどうでもいい。
じゃあ付き合おっか、なんて、また上辺だけ優しさをのせて思ってもいない言葉を放つ。
この日俺は、この男を、一生俺だけに依存するように「しつける」ことを決めた。
【何もいらない】
________
あれ……闇深になっちゃった…そんなつもりなかったのに…
未来が見えたとしても、俺は見たくない。
アイツが隣にいない未来が見えたら、どうなるか分からないから。
そんな未来が確定する前に、
何としてでもアイツを捕まえる。
【もしも未来を見れるなら】
桜散る
あなたも共に
去ってゆく
元気かな。
新しい環境でも頑張ってるかな。
そろそろ会いたい。
【桜散る】
お前なんか、言葉にできないくらいのでっけえ愛にまみれて天寿を全うして俺のそばで世界一幸せな顔をして死ねばいいんだ。
まあ、つまりは、一生を共にしたいと。
なんと衝撃的なプロポーズだろう。付き合ってもないのに。
色んな意味で言葉を失った。
こんなに、嬉しいことを言われたら。
受け入れる以外のことできないだろ。
【言葉にできない】