鏡の中の自分は、憎たらしいあの子と全く同じ姿。
この姿で今日、大好きな彼に、会いに行くんだ。
彼の好みは今の彼女みたいな感じだって聞いたから、私があの子になってやった。
今まで視界にも入れてもらえなかったけど、これならきっと、視界に入れてくれるし、話しかけてもらえるよね!
ああ~っ楽しみ!!!!
【鏡の中の自分】
暗がりの中で、たった一つ光を放っていた君を、必死に追いかけた。
「おはよう」
目が覚めると、その光が、目の前にあった。
それがどうしようもなく嬉しくて、
「おはよう」を返すかわりに、苦しくなるほど君を抱き締めた。
【暗がりの中で】
叶わない恋だと思ってた。
何度も想いを断ちきろうと思った。
一晩中泣いた夜もあった。
でも、限界に近づいた僕が命までも断ちきろうとしたあの日、君に思いっきり頬をはたかれて、説教されて、お互いの思いをぶつけあって。
そのあと、君が涙まじりに「お前が死んだら生きていけない」と言って僕を抱き締めたから、
僕は声が枯れるまで泣いた。
間違ったことしてごめんね。
必要としてくれてありがとう。
だいすきだよ。
【声が枯れるまで】
秋。
大人になっても、きみは相変わらず近所の公園で落ち葉を舞いあげて、無邪気に笑ってはしゃいでいる。
その勢いのまま僕に落ち葉をかけてきたりして。
普段は真面目に仕事をしていて、上司からも褒められっぱなしなのに。
僕と二人の時だけは、昔からの仲だからか、子供のような一面を恥ずかしげもなく見せてくる。
僕はそんな君に、恋をしていることに気づいた。
君を見ていると、なんだかいろんな感情が際限なしに溢れてくるんだ。
言葉には表せる、けど、それだけじゃ足りないような、不思議な気持ち。
胸がドキドキしたり、あったかくなったりするときもあるけど、時々、君が遠くに行ってしまうんじゃないかって、怖くなるときもある。
君は人気者で奔放だから。ずっと自分のそばに引き留めて、自分だけを見ていて欲しいと思ってしまう。さらにその裏に、言葉じゃ満たされない大きな感情がある。
これ、僕が考えるには、依存だと思うんだけど。
君は、僕にこんな気持ち向けられて、どう思った?
歩道と車道を分ける白い線を歩く君にこんなようなことを問うた夏。
【それって、依存ていうか、恋じゃない?それもかなり本気の。キミの言う依存は、それから来てると思うよ。】
セミの鳴き声にかき消されそうな言葉。
「そうなんだ。ごめんね。男に好かれるなんて嫌だよね」
汗ばんだ二人のうなじ。
【あっさりだなあ~、だから不思議な人って言われるんだよキミ。
…でも、決して悪い気はしないよ。キミが、ボクが、男だろうが女だろうが関係ない。
ボクたちがお互いに同じ感情を抱いてるって分かったからね。】
直後に唇に触れた、ぬるくて少し乾いた感触。
その全てを、僕はまだ覚えてる。
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【本気の恋】
よく分からない話になった、、