無気力

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11/24/2022, 12:29:40 PM

「え〜っ、あっはっ、何その絵柄!」
「えっ?良くない?寒いからさ、買ったばかりのセーター」
「うーん、何か海外ドラマの学生が着させられてそう」
「ええぇ」


「うわぁ、すごいジャケットだね」
「どう?良くない?春らしく明るい感じ」
「うーん、そんな色初めて見たよ」
「そうかな?」


「あれ、クーラー寒かった?」
「いやいや、今日めっちゃ暑いじゃん」
「そうだよね?半袖の方がいいんじゃない?」
「えっ、これ半袖だよ!オーバーサイズってやつ?」


「ごめん、今日仕事だった?」
「今日は休みだよ。なんで?」
「スーツ着てるから」
「スーツではないよ!キレイめコーデにチャレンジしてみた」


ちょっとズレてる君が面白くて可愛くて、今年の冬はどんなセーターを買ってくるのかな。

『セーター』

11/23/2022, 10:01:26 PM

「本当にいいんだな?」
「ああ、俺を信じろ」
「おい、お前早くしろよ」
「分かってるって」
男は深呼吸をして息を整えるとぐっと指先に力を入れる。
カチッ
「ふぅっ」
「次は俺か」
もう残り僅か、そろそろかもしれない。
「いくぞ」
次の男は意を決し、指先に力を入れる。
カチッ
小さな男が弾け飛ぶ。スローモーションの様に落ちていく。


「うわぁーーー!!」
「やったーー!」
「よっしゃ!お前の負け!」
「そろそろやばいと思ったんだよな」
「ははっ、じゃあ罰ゲームの買い出しよろしく」
「わかったよ」

1人の男は財布を持って部屋を出ていく。
残った男たちは樽型のおもちゃから剣を模した棒を引き抜く。
「あれ、おじさんどこだ?」
「ほんとだ、だいぶ高く飛んだもんな」
男たちは小さなおじさんを探す。

『落ちていく』

11/22/2022, 11:50:22 AM

「ただいま〜」
「おかえりなさい、あなた!」
「きょうもおしごとたいへんだったよ〜」
「あらあら、おつかれさま!おふろわいてるわよ」
「やった〜」

「2人は本当に仲良しね」
「うん!みきちゃんはぼくのおよめさんになるんだよ!ねっ!」
「うん!ゆうくん、ずっといっしょにいようね!」
「あら〜、私達将来家族になるのね!」
「もう、今から楽しみね!」





「ごめん、もう君とは一緒にいられない」
「なんで?あの人の所に行くの?」
「君には本当に申し訳ないと思っている。だけど頼む。別れてくれ」
「…………っ!」


「はいっ、カーット!」
「今の2人良かったよ!」
「「ありがとうございます」」
「じゃあ、また続きは明日かな」
「はい、よろしくお願いします」
「お疲れ様でした」




「まさか20年経ってもゆうくんと夫婦ごっこするとはね!」
「俺も最初みきちゃんが相手でびっくりしたよ!」
「悲しいお話だったけど、もうすぐ終わっちゃうの寂しいね」
「みきちゃんもそう思ってた?」
「うん、だってあの頃みたいにゆうくんといられて楽しいもん」
「そっか…。ねえ、あの時の約束覚えている?」
「うん?」
「みきちゃん、僕のお嫁さんになってください!」
「はい!ゆうくん、ずっと一緒にいようね!」

『夫婦』

11/21/2022, 12:09:23 PM

まずい、困った。
目が覚めたらこの状況。
非常にまずい。
慌てて寝ているふりをする。
薄目を開けて右を見ると中年の男が寝ている。
反対を見るとご高齢のおばあさんが座っている。
さらに、右の中年男性の前にはご高齢のおじいさんがいる。
それだけであったら何も問題はなかったのだ。
問題は、自分の前に妊婦さんがいるのだ。

そう、ここは電車の中。
そして端から2番目の席に座っている。
つまり、席を譲れるのは自分のみ。なのに、譲るべき人は2人いる。
どちらに譲ればいいのか。
隣の中年男性を小突いて起こすか?
いや、譲るとは限らない。
自分が降りる駅まであと5駅もある。
この人たちはどの駅で降りるんだ?
まずい、まぶたがピクピクする。
うぅ~〜、どうすればいいんだよぉ〜〜〜!

『どうすればいいの?』

11/21/2022, 6:07:17 AM

「これあげる」
「あ、ありがとう」
「これもあげる、あとこれも」
「えっ」
「これとこれとこれもあげる」
「いやいや、こんな貰えないよ。君の大切なものだろ?それにとっても高価なものじゃないの?」
「大切なものじゃないよ。お父さんとお母さんが持ってくるから溜まっているの」
「それはご両親からのプレゼントじゃないか。大切にしないと」
「なんで?」
「なんでって、それは…」
「私の大切なものはこんなのじゃないと思うの」
「……?」
「ねえ、私の大切なものになってよ」

『宝物』

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