ずっと夢の中にいられたらいいのに
現実はわたしにとても冷たい
灰色の世界
わたしなんてどうでもいい存在で、いなくなったって誰も困らない
あの人だって、わたしのことなんてどうでも良さそう
夢の世界では、ぜんぶがわたしにやさしい
みんなにこにこしていて
わたしはびくびくしないでいられる
あの人もわたしを見てくれる
こっちがいい、こっちがいいな
目が覚めないといいのに
よく気がつくよねー、
あなた方はそう言いますけど。
わたしからすると、なんで気がつかないのかわかりません。
褒めてるつもりですか?ちゃんとやってください。
お喋りばっかり、ほんとうるさい。
『些細なことでも』
明日、もし晴れたら
君を誘ってドライブに行こう
嫌なことなんてぜんぶ忘れちゃって
君が笑ってくれたなら、僕の勝ち!
明日世界は終わるらしい
突然知らされた事実に、テレビもネットも騒がしい
たくさんの人が泣き出したり、怒ったり、なんとかしろと叫んでいる
動物も何か感じるものがあるらしい
窓の外では大量のカラスが鳴き声をあげ、犬が吠え続けている
だけど、僕には関係ない
僕にとって、世界はとっくに終わっていた
あの日、君がいなくなった瞬間から、僕の時間は止まってしまった
世界が終わるなんて、僕にとっては今さらだ
窓の外に目を向ける
真っ赤な真っ赤な夕焼けが見える
君と一緒に見られたら、良かった
あなたは最近いつも悲しそう
わたしを見つめるその目は不安げで
眉を寄せて難しい顔をしてる
わたしが起き上がれなくなってから
あなたの笑顔は消えてしまった
あなたは家に帰ってくる、真っ先にわたしの元に来て、わたしを抱きしめてくれる
そしてわたしの頬を撫でて顔を寄せてくれる
わたしは昔みたいに走ってあなたを出迎えることはできないけど
飛びついてあなたに好きを伝えることもできないけど
あなたに笑っていて欲しいのよ
なんとか伝えたくて声を出す
あなたにはクウンというか細い音に聞こえるのかしら
あなたの胸に鼻先を寄せれば、抱きしめてくれる
嬉しくてしっぽが揺れる
わたしが人だったら、もっと長く一緒にいられたのに
わたしが人だったら、大好きよ、って言葉で伝えられるのに