過ぎ去った日々
小学生だった私は
60歳で死のうと考えていた。
あれから半世紀…
来年私は60になる。
今、私は永遠に生きようと思っている。
60歳を過ぎたおまけのはずの人生に
私は新しいことをしてみようと思っている。
60歳.還暦。
赤ちゃんに戻り第二の人生が始まる。
楽しみだなあ…
どこまでも…
インターネットについて考える。
夫の経営する店に、お客様があまり来なくなった。
あ、以前からそれほど混雑してたわけではないよ。
それでもコロナ前は普通に営業してた。
私も毎日手伝っていた。
コロナ渦には完全予約制にした。
夫は毎日店に居たが、
私は予約の日だけ手伝い、その他の日は会社勤めに出た。
そうしないと生活できなかった。
ワクチンの開発やウイルスの変化で
新型コロナの混沌とした状態が過ぎ去った。
数年経ち、街は活気を取り戻しつつあると
ニュースで聞くようになった。
しかし、夫の店にお客様は戻らなかった。
ネットで夫の店を検索してわかったことがある。
地図上に赤いバッテンマーク。
夫の店は閉店したことになっていた。
夫にそのことを伝えると
そのままにしておけとのこと…。
うーん…
誰かもわからない人の口コミ情報。
コロナ渦の完全予約制を閉店と勘違いしたかもしれない。
こちらにもそれなりの事情があった。
でも……
ネットの情報は正しいだろうか?
あなたの書こうとするその情報は正しいだろうか?
ネットって、こ〜わ〜い〜よ~〜
モノクロ……
高校時代、漫研に居た。
季節ごとに漫研ではイラスト集を出版した。
出版?
………学校のコピー機で刷ってホチキスで留めた冊子だ。
そいつを100円で売った。守銭奴だ。
私は、Yちゃんの絵が好きだった。
Yちゃんの絵は独特だった。
使うのは4Bの鉛筆。
Yちゃんは柔らかなマシュマロみたいな女子高生を好む。
絵の女の子はいつも制服。
独特なのは、色のつけ方だ。
別の紙に、Yちゃんは鉛筆で塗りつぶす。
塗りつぶした場所を人さし指でこしこしと擦る。
人さし指が鉛筆の粉でテカテカになったら
色をつけたい場所を指でなぞる。
マシュマロみたいな女の子に色がつく瞬間だ。
薄く濃く、強い光は消しゴムも使う。
モノクロなのに、まるで色があるように感じるのだ。
Yちゃん元気かな……
それほど親しくもなく、言葉も殆ど交わさなかった。
でも、今思うんだ
あの時、Yちゃんに言えばよかったな……
あなたの絵が とても好きだって…
永遠なんて、ないけれど……
50億年後に太陽は地球を飲み込むという。
そう遠くない未来に……
あの頑丈な橋も道路も高い塔も
緑の蔦に覆われていることだろう。
私が想像できるのはそのあたりまで…
わたしたちは
永遠の中の一瞬を生きている。
いのちキラキラ
なんて美しいんだろう。
好きなことして生きよう…
僕と一緒に……
父が認知症と診断されて十年になる。
これは父が心臓にペースメーカーを入れた入院中のこと。
今から七年程前の話だ。
その頃から父は、家族のことが分からなくなり
自分を27歳と思っていた。
母は毎日病院に行き、献身的に付き添っていた。
父は、時々スイッチが入ったように暴れて
看護師さん達に迷惑をかけていたから
母と私と妹の誰か一人はそばにいて見守る必要があった。
その日は母と妹が病室にいた。
母がトイレに行き、その場を離れたとき
父は妹に言った。
父「今ここに居た女の人はとても親切にしてくれます。」
……でしょうね。と思ったが適当に相槌を打った。
父「二人子持ちだけど」
……目の前に娘いますけど。と思ったが
そうなんですか… と知らないフリをした。
父「結婚しようと思います。」
妹は吹き出しそうになりながら答えた。
「それはそれは おめでとうございます。」
トイレから帰ってきた母は
途中からその話を聞いていた。
父に二度も結婚を申し込まれたことを
今でも母は自慢げに話す。
なんかちょっと私はモヤモヤします。