僕と一緒に……
父が認知症と診断されて十年になる。
これは父が心臓にペースメーカーを入れた入院中のこと。
今から七年程前の話だ。
その頃から父は、家族のことが分からなくなり
自分を27歳と思っていた。
母は毎日病院に行き、献身的に付き添っていた。
父は、時々スイッチが入ったように暴れて
看護師さん達に迷惑をかけていたから
母と私と妹の誰か一人はそばにいて見守る必要があった。
その日は母と妹が病室にいた。
母がトイレに行き、その場を離れたとき
父は妹に言った。
父「今ここに居た女の人はとても親切にしてくれます。」
……でしょうね。と思ったが適当に相槌を打った。
父「二人子持ちだけど」
……目の前に娘いますけど。と思ったが
そうなんですか… と知らないフリをした。
父「結婚しようと思います。」
妹は吹き出しそうになりながら答えた。
「それはそれは おめでとうございます。」
トイレから帰ってきた母は
途中からその話を聞いていた。
父に二度も結婚を申し込まれたことを
今でも母は自慢げに話す。
なんかちょっと私はモヤモヤします。
9/23/2025, 2:18:23 PM