夏…
忘れられない旅がある。
佐渡に行きたいと言ったら
行こうということになった。
今日。
え?今日?
うん。
私の夫はそういう人だった。
車に乗って直江津に着いた。
駐車場に車を停めて
フェリーの時間を確認しに乗船場に行ったら、
あと数分で出航時間だった。
文字通り、私たちは船に飛び乗った。
車もおやつも何も持たず、カバンひとつで。
佐渡の海は、とてもとても美しかった。
あんな旅はもう二度とできまい。
ここではないどこか…
男は、一歩家を出たら戦場
とか、言うんだけど
女は、家の中にも戦場あるんよ。
釣った魚にエサをやらないと…
知らんからね。
ここではないどこかにあなたは行きたがる ここが楽園だとも知らずに
君と最後に会った日…
舅さまと最後に会ったのを強烈に覚えている。
正確に言うと、最期を看取った日だ。
夜中零時をまわった頃だった。
ベッドに眠っていた義父が目を覚まし、
静かにありがとうと言った。
その後ゆっくり目を閉じて喉元がかすかに動くのを見た。
閉じた目から涙がこめかみへ伝った。
永遠の別れなのだと感じた。
生きているときとても苦労をした人だから
苦しくなくて逝けたのだと思いたい。
自分が逝くときに、もしも誰かがそばに居てくれたなら
私もありがとうと言うつもりだ。
そういう人生になれるといいなあ…
繊細な花…
薔薇と書いて「そうび」と読む
美しく繊細なイメージだ。
昔からある呼び方だそうだが、私は谷村さんの歌の歌詞で知った。
薔薇をRoseと呼べば繊細というより可憐なイメージか
呼び方って不思議だ。
1年後…
十代、二十代の一年後は、生活が激変していることがあるだろう。
進学、就職、結婚などなど盛り沢山だ。
さて、中高年の一年後はどうだろう?
そうは変わらない人が多いかもしれない。
でも、家族に十代、二十代が居たらどうだろう?
……影響は避けられない。
私の一年後は、息子次第ということになるかもしれない。