「10年後の私から届いた手紙」
10年後の私から手紙が届いた。
見てみたいけど、でも見るのも怖い。
私に対する労い?警告?安心出来る様な言葉なの?
不安と期待が混ざり合って、どうすれば良いのかわからない。
でも、よく考えると。
きっと私の性格なら、書く事は1つしかない。
そう思うと、きっとこの手紙を開いても、怖い事はない。
人の性格なんて、そうそう変わらない。
だからきっと、私が思う通りの言葉が書いてあるだろうし、違う言葉ならこの先の私の人生、思いもよらない事が起こったと言う事だから、その内容を参考にすればいい。
覚悟を決めて手紙を開くと……
予想通りの、内容。
「今の自分を信じて進め‼大丈夫。経験も苦労も全てが糧になるから。大丈夫、進め‼」
良かった。相変わらずバカみたいに前向きな私のまんまだ。
成長してないのかもしれないけど、自分を大好きと言えて、自分を信じられる私のまんまだ。
今の私も、10年後の私も、きっと頑張れる私。
自分に自信を持って、自分を好きだと言える私。
「バレンタイン」
初めてバレンタインに、大好きな人にチョコレートを渡した。
貴方を探して、放課後の学校中を走り回った。
貴方には「渡したい物があるから放課後残ってて」って伝えてあるから、帰ってしまう事はないとは思うけど、それも不安で。
そして、やっと貴方の背中を見つけた。
普段は普通に喋ってるのに、急に何を喋ればいいのかもわかんなくなるし、何か心拍数急上昇だし。
もう、心臓が口から飛び出るかと思う位ドキドキしてる。
たった一言言えばいいだけなのに。
「好きなの」その一言が、喉に張り付いて出て来ない。
沈黙が流れて、でも言葉は出なくて。
何か気がついたら、貴方の腕をぐっと掴んでた。
私のバカ‼何か私ヤバい奴みたいじゃん?
でも貴方は怒らずに、私に微笑んでくれた。
そこから先の事は正直あんま覚えてない。
ただ、貴方にちゃんと気持ちを伝えて、付き合える事になったのは覚えてる。
よくある青春の1ページって奴で、きっと世界中にありふれてる物語だと思う。
でも、私にとってはかけがえのない想い出で、大切な恋心だった。
あれから何年もが過ぎたけど。
あの頃のピュアでただ真っ直ぐに貴方を好きだと言えた私は、残念ながらもう居ないけど。
でも、あの時の想いはきっと一生私の心の隅っこに在り続けるだろう。
余計なしがらみとか、計算とか、そんな事は何もなく。
ただ「好き」と言うその気持ちだけで動けたあの頃の私には戻れないし、戻る気もないけど。
でも、失くしたくない、大切な心の一部。
「待ってて」
もう少しだよ。待っててね。
もうすぐなの。
もうすぐ、私達一緒になれるよ?
邪魔なアイツも、あの子も、あの人も。
ちゃんと私が全部片付けたよ?
貴方いつも言ってたじゃない。
「アイツらさえ居なければ、君と一緒になれるのに」って。
「お互いに出逢う順番を間違えたよね……君と先に出逢えて居れば。」
「待ってて。僕の方はもう少しだから」って。
「君は慌てなくていいよ。僕はいつまでも君を待てるよ」って。
だから、私。思ったの。
貴方だけに何かさせるのも悪いし、第一、私は待ってるだけの女じゃないし、待たせるだけの女でもないの。
貴方が私を待たせないで済む様に。
私が貴方を待たせないで済む様に動けばいいじゃん、って、思ったの。
だから、待ってて。
ホントにあともう少しだけだから。
「伝えたい」
意地を張って言えなかった「好き」を。
照れくさくて飲み込んでしまった「ありがとう」を。
伝えきれない程の「感謝の気持ち」を。
いつでも言えると思って、結局言えないまま喪ってしまった母へ、伝えたい。
最期の時に間に合わず、最後の一言を伝えられなかった。
それが今でも悔やまれるけど。
でも、きっとあの母の事だから、私が言いたい事とか私の気持ちなんて、全てお見通しだったと思う。
けれども、こうやって伝えられない思いを経験させる事で、今後は私が悔やむ事をしない様に最後に教えてくれたんだろうな、とも思う。
だから、これから先の人生は。
伝えたい事はすぐに伝える。
いつか、が確実ではない事を学んだのだから、その経験を無駄にせずに生きていく。
「ありがとう」
「この場所で」
60才になったらこの場所で会いましょう。
その頃には貴方も私も成長して、笑い合える様になれたらいいと思う。
今はまだお互いにわだかまりもあるし、許せない事もある。
30才だとまだ許せないかも。
40才だと、許せるフリは出来ても、心の底からは笑えないかも。
50才だと、許せても、笑えても。その分逆に変な未練が顔を出すかもしれない。
だから、60才位が丁度いいかな?と思う。
その時に、心からの笑顔で貴方に逢える様に。
貴方の瞳を真っ直ぐに見つめられる自分で居られる様に。
貴方の前で誇れる自分で居られる様に。
そんな私を目指して、その日の為に頑張ろう。
そして、私と離れた事を、少しでも悔やんでくれたら嬉しい。
本音を言えば、地団駄を踏むくらい、歯噛みするくらい、悔しがって欲しい。
そんな日を目指して、頑張ろうと思う。