「影絵」
現実の私と貴方は重ならないから、せめて夕暮れの時間帯に、長く伸びた影だけでも貴方と重ねてみた。
これが現実ならいいのに。
余計切なくなって、涙が出てきた。
好きって、どうしてこんなに綺麗で、哀しくて、切なくて、嬉しくて。
自分では持て余すこの気持ち。
でも、とても大切で、消せない気持ち。
「物語の始まり」
何日も、何時間も苦しんで。
人生初めて、って言う程の痛みに耐えて。
よく鼻から西瓜を出す痛み、って例えられるけど、そんなもん一瞬だろ、こっちは何時間も耐えてんだよ!!って暴言吐きたくなる程の痛み。
そして、君が生まれた。
こんなに可愛くて、尊い生き物がこの世に居るんだ、って思ったよ。
絶対に、この子を守ろう、幸せにしよう、と思った。
心の奥から、愛しい、って思った。
今日が、君の物語の始まりの日。
願わくば、君の物語が終始温かく、幸せな物語でありますように。
そして、親としての私の人生の始まりの日。
願わくば、間違えないように、君を守れる物語でありますように。
「静かな情熱」
人に怒る事も殆どなく。
常に人当たりは良く、嫌われる事もなく、でもどうしようもない程に好かれる事もなく。
何かに執着する事もなく。
可もなく、不可もなく。
私はそうやって生きてきた。
人に迷惑をかけない事を信条に、ひっそりと生きて来た。
将来の夢もなく、親の敷いたレールの上をただ黙って走り。
およそ自我と言う物を持たずに生きてきた。
そんな私が初めて執着したのが、貴方。
貴方の全てを知りたい。
貴方の全てを誰にも渡したくない。
貴方の全てを私のものにしたい。
この、燃える様な感情を何と呼べばいいのだろう?
恋?愛?執着?独占欲?
どんな感情なのか、自分でも分からない。
この感情に、どんな名前をつければ良いのか分からない。
ただただ溢れるこの気持ちを、私はひたすら持て余す。
そして、どうすれば良いのか自分でも分からなくなり、そんな自分に苛立つ。
穏やかとか、波風を立てないとか、心をざわつかせないとかが私の生き方なのに、貴方と出会ってからは常に心がざわついている。
毎日が落ち着かず、今までの私の生き方を自分で否定しそうになる。
だから、今のこの状況は、私にとっては到底受け入れられないし、受け入れる気もない。
でも、貴方を見れば心がざわついて、どうしようもならなくなる。
そんな私が悩んで、悩んで出した結論は。
貴方が見えなくなればいい。
貴方の声も聞こえなくなればいい。
貴方が、いなくなればいい。
そして、静かな情熱の使い方を間違えた私は、今檻の中に居る。
「遠くの声」
貴方の声ならば、どんなに遠くても私の耳に届く。
私の心の声も、貴方に届けばいいのに。
「春恋」
新しい年度が始まり、新しい場所での生活が始まる。
周りの人達も初めて会う人も多い。
でも、その中で。
ずっと昔から変わらない貴方の姿を見つけた。
知らない人に揉まれて、どこか居心地が悪そうな貴方。
私の視線になんか気付かずに、下を向いている。
私にとっての貴方はとても大切な人で。
春も、夏も、秋も、冬も。
私はずっと貴方に恋してる。
人の良さも、真面目過ぎな所も、不器用さも。
貴方の全てにずっと恋してる。
いつか、貴方にこの気持ちが伝わると嬉しい。
いつか、この恋が叶うと嬉しい。
春の陽気に紛れて、デートにでも誘おうか?
そんな、有りもしない勇気を胸に、私は今日も貴方を見つめてる。