「もう二度と」
もう二度と逢えない貴方だけど、あと一度だけでいい。
逢って伝えたい事がある。
「何故あの時言葉に出来なかったのだろう?」
自問自答しながら、後悔の渦に飲み込まれている。
たった一言なのに、どうして言えなかったのだろう?
あの時は、もう二度と逢えないなんて思わなかった。
いつでも言えると思っていたし、もし言えなくても悔やむ程の事ではないと思っていた。
それが浅はかだったと気づくのは、いつだって取り返しがつかなくなってからで。
そして、今日も又後悔を抱えながら、もう二度と逢えない貴方に想いを馳せ続ける。
言えなかった言葉の、伝えられなかった想いの重さを噛み締めながら。
「雲り」
外は晴れているのに、私の心の中はずっと曇りか雨。
貴方が去ったその日から、ずっと私の心は晴れない。
でも、よく言われる事だけど、止まない雨はないし、例え曇りでも雨天ではないし。
だから、晴れなくても、せめて曇りで、心穏やかに過ごしたい。
いつか、心から笑える日が来るまでは。
「bye bye…」
貴方からの「さよなら。」の一言が、ずっと耳にも胸にも残っている。
いつか、囚われた私の心が解放される日を信じて、今はただ時間を消費している。
いつか、は何時なのだろう?
わからないけど、でも、今の私にはその日をただ待つ事しか出来ないから。
貴方を忘れる日を、待つ事しか出来ないから。
「君と見た景色」
僕は忘れない。
君と見たあの景色を。
全てが輝いていて、美しく見えていた。
そして、僕達の関係が変わってしまった今でも、その景色は変わらずそこに在り続ける。
変わらない物も、移り行く物も。
全てが美しくて、愛おしくて、哀しくて、優しい。
だから、僕は忘れない。
君と見た景色も。
君との思い出の全ても。
狂おしい程に、君を愛した事を。
全てを、忘れない。
「手を繋いで」
君と手を繋いで歩いたこの道。
君と座って、長い時間話をしていたベンチ。
君と初めてデートをした映画館。
ペアのアクセサリーを買ったお店。
あの時は全てが輝いていたのに、今は全てが何だか悲しげに見える。
何処を見ても、「あの時は君が居たのに」と思って余計辛くなるだけで。
いつかは、君との思い出を他の誰かと上書きをして、君の事を思い出さなくなるのだろうか。
いい思い出だった、と懐かしく笑える日が来るのだろうか。
失恋なんて、珍しくも何ともなくて、数え切れない程あるだろう。
でも、皆がいつかは立ち直って、次の恋を咲かせてる。
だから、きっと僕もいつかは、そうなるだろう。
でも、せめて今だけは。
この辛さも、切なさも、悲しみも。全てを感じたい。
君との全てを忘れたくないから、君を僕に刻みつけるまで。