「遠く……」
いつからこんなに貴方との距離が離れてしまったのだろう?
ついこの前までは、ゼロ距離で、貴方の温もりを感じる事が出来ていた。
なのに今は、貴方が横に居ても、心の距離がこんなに遠い。
以前の様に、貴方を感じたい。
貴方の心に触れたい。
貴方の視線に射抜かれたい。
でも、それは今の私には、とても叶いそうもない願いで。
貴方の心は、私じゃない別の誰かを見ているから。
あなたが、とてつもなく遠い。
なのに、貴方は更に遠くへ行こうとしている。
戻りたい、と願っても叶わず。
もう一度、を願っても叶わず。
もう、どうしようもならない。
どうにも出来ない。
でも、私は貴方を諦められから、私はこの辛さを抱えたまま、ここで、ずっと貴方を想っている。
来る筈のない、「いつか」に縋りながら。
「誰も知らない秘密」
今日は、私の結婚式。
沢山の花束。皆のお祝いメッセージ。
皆が笑顔で、貴方も私も笑顔で。
幸せいっぱいで、これ以上何を望めばいいの?と思える位。
でも、私の心の一部は、ここにはない。
あの日、あの時、あの場所に。貴方の元に置いてきたままで。
貴方に酷い裏切られ方をして、これ以上ない位落ち込んで、どん底にいた私。
あの時の私は、今考えてもおかしいと思う様な状態だった。
そんな時に夫と出逢い、全てを解った上で望まれて付き合い、今日の日を迎えた。
優しい、穏やかな夫。私を包み込んでくれる。
私を疑う事もなく、今は私の愛を一身に受け止めてると信じて。
打算的かもしれないけど、経済的にも社会的にも安定してて。
大人で、不満な所なんて何一つない。
でも、私は貴方を忘れられない。
幸せな家庭を築けるのは、私を一番愛してくれているのは夫だって解ってるけど、心が求めてるのは貴方で。
きっといつかは、毎日の生活に紛れて、貴方との事も徐々に薄れて行くのだろう。
そして、そこが塗り変わる様に夫の色になって行くのだろう。
でも、染まらない。染まりきれない。
貴方との日々は、決して幸せばかりではなかった。
悲しみも、切なさも山程あった。
むしろ、辛い事の方が多かったかもしれない。
あの子に渡したくないっ!!て思って、苦しかった。
でも、私は今でも貴方を忘れられない。
心の何処かで貴方を求めてる。
今でも貴方が、狂おしい程に好きだから。
だから。
貴方の一部は、ずっと私の中に残り続ける。
貴方の一部を、飲み込んだあの日から。
「静かな夜明け」
泣き腫らした目で、朝日を見つめる。
昨日までの、弱気な私とは今日でサヨナラ。
もう、泣かない。振り返らない。
アイツらになんか、屈しない。
キッカケはよくある話。
あの子達が虐めをしたからそれを止めた。それだけ。
そして、次の日からは私がターゲットになった。
あの時に助けた子も、一緒になって私を虐めてた。
くっだらない。
そう思いながらも、私のメンタルは徐々に削れて行った。
悔しい。泣きたくない。負けたくない。
馬鹿らしい。相手になるのもアホらしい。
関わりたくない。認めて欲しい。
……憎い……
もう、色んな感情が混ざって、悪い事を考える自分にも自己嫌悪になったりして。
でも、それも昨日で終わり。
悩んだ。苦しんだ。考え抜いた。
で、出た答えが。
相手にしない。相手の土俵に上がらない。
バカは見てやる必要もない。目が汚れる。
もしかしたらあの子達も何かを抱えていて、それで発散出来ずにあんな事してるのかもしれない。
辛い事情があるのかもしれない。
でも、それって私に関係なくない?
ましてや、人を虐めていい理由にはならないよね。
人にされて嫌な事はしない。
仮にそれを自分がされて嫌でない事でも、相手が嫌がる事ならしない。
当り前の常識と敬意を持って人と接する。
これって、文明社会で生きてく上で最低限の事じゃない?
それすらも守れない、おバカな奴らに、何で私が苦しめられなきゃならない?
バカの土俵まで、こっちが降りてやる必要なくない?
同じ言葉で語れず、同じ常識が通じない相手に、私は何を望んでた?
同じレベルで語れない相手に合わせる必要ないよね。
昨日までは、そうやって相手を蔑む自分の事も嫌いだった。
でも、今日からは。
蔑んでいい。嫌っていい。
だって、まともに相手にならない人達だから。
常識が、誠意が、普通が。
それらが通じない相手は、蔑んでいいと思う。
そんな人の為に、これ以上私のメンタルを、1ミクロンたりとも削らせるもんか。
静かな決意の中、静かに夜が明ける。
新しい、私の一歩目。
「heart to heart」
恋でも、友情でも、同情でも。
そこに「心」が、「想い」が込められていれば。
それは全て広義の「愛」だと思う。
その想いは、相手に伝わる時もあれば、伝わらない時もある。
伝わったとしても、間に誤解が生じてしまう事もある。
想いや行動が裏目に出て、相手を怒らせてしまう事もある。
それでも、その気持ちの、行動の原点に揺るぎない想いがあれば。
いつかは、伝わると思う。
それは思った形ではないかもしれない。
満足のいく結果にはならないかもしれない。
でも、それでも。
「心」があって、「行動」を起こした事。
それは変わらない事実だから。
もし間違えていたら、やり直せばいい。
そこに「心」がある限り、諦めない限り、相手の迷惑にならない限り、何度でもやり直せるから。
自分の「心」を、「想い」を、「愛」を、相手の「心」に届けよう。
「永遠の花束」
生花はいつか枯れる。
ドライフラワーも、ブリザードフラワーも、長持ちはするけど、永遠ではない。
形あるものはいつかは壊れる。なくなる。
でも、心の中の気持や想い出は。
良くも悪くもずっと残る。
大きく心が動いた時の、一つ一つのシーンやその時の想いが、ずっと心の中に残り続ける。
辛い、切ない、哀しい想いや、後悔の気持ちとかは、淋しい、暗い花束に。
楽しい、嬉しい、愛しい気持ちとかは、綺麗な、明るい花束に。
でも、どちらも自分にとっては大切な気持ちで、想い出で経験で。
どちらが欠けても、今の自分にはなり得ない筈だから。
私が今の自分を肯定出来るのは、私の経験の、想いの全てが私を形作っていて、それを踏まえた上で、自分を好きだと言えるから。
だから、この永遠の花束を大切にして行こう。