あおいうみ

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8/26/2025, 11:12:36 AM

素足のままで

ライブのステージで歌う時は必ず素足になる。
冬でも野外でも関係ない。
なんなら子供とカラオケ行っても、素足になる。

これは10代で歌を始めてからずっとだ。
素足になると床や土の感覚がひんやりと心地よい。

歌は身体全体を使う。
そうすると地に足がついて、指にも力が入り踏ん張れる。地面の下の方からエネルギーをもらえる気がする。

たまに素足仲間に会うと、妙に親近感がわく。
おっ。あなたもですかと、それだけで仲間意識が芽生える。

元々人間だって裸足で歩いていたのだから、ごく普通のことだ。
さすがに日常生活は素足では歩けないけど、できるものなら基本は裸足でいたい。

どこか海の近くに住んでいたら、いつもビーサンで、すぐ脱げるのになぁと先日海に行った時に思った。
でも、貝殻と見間違えてキラキラ光るガラスを拾ったとき、あ、靴履いててよかったと靴のありがたみを感じた。

この先も、歌うときのスタイルは変わらないだろうから、足元は事前によく見ないとね。
素足カラオケ、おすすめです。

8/25/2025, 12:09:09 PM

もう一歩だけ

頭の中のグルグルをノートに書くようになってから、ずいぶん悩む時間が減った。

それでも動悸が止まらなくなるほど、グルグルする時もある。
その時は掃除をしてみる。
悩みがなくなるわけではないが、気づけば動悸はとまっている。

悩むより考える方が冷静になると気づいたのも最近だ。
でも、何十年も感情お化けを背負って生きてきたので、お化けの重さに耐えきれなくなることもある。

まだまだ足りない。書け、動け、考えろ。
もう一歩だけ進めば、自分という枠組みを外から冷静に眺める事ができるんじゃないか?
ずっとしてこなかった書くという行為に救われながら、その境界線を大股で飛び越えてみたい。

8/24/2025, 11:55:37 AM

見知らぬ街

はじめて行く街は匂いがちがう
普段自分の住んでいる場所とは違った匂い。
そこに住んでいる人達なのか、建物なのか、温度なのか。

だからはじめて行く街は落ち着かない。
慣れない匂いに、そわそわドキドキしてしまう。
それが見知らぬ街を訪れる醍醐味なのかもしれない。

そして、住み慣れた場所に戻ると馴染みの匂いにほっとする。

子どもの頃、友達の家に遊びに行くと自分の家とは違う匂いがして、やはり落ち着かなかった。
その感覚に近いのだろう。

自分はあまりアクティブなタイプではないので、住み慣れた場所、家にいるのが一番落ち着く。
でもたまに見知らぬ街を訪れた時だけ感じる、あの妙なドキドキ感に憧れてでかけたくなる。
矛盾はしてるけれど、嫌いではないんだな。

8/24/2025, 9:00:45 AM

遠雷

満月の日、月の明かりだけで歩く。
昼間のように明るい田んぼの真ん中を、足音だけがカサカサ響く。

田んぼの先は海へ続く道。
松の木が生い茂り、光をさえぎる。
急に真っ暗になり足音と同じくらいに、自分の心臓の音が外に漏れ出している気がする。

松林の奥は、目をこらしてもこらしても闇。
風の音か、生き物の動く音か。
足音以外の何かに全身から汗がふきだす。
若干小走りになりながら、坂道を登る。
体がうずうずとするほどの恐怖。

坂道を登り切り、平坦な1本道を走る。
早くこの闇を抜けなければ。

ぱっと目の前が明るくなって、視界がひらける。
明るい満月の下、白く光る海。
まんまるい月が海に映ってはぼやけ、映ってはぼやけて波の上を泳いでいるようだ。

海の先にはワニの形の山。
ピカっと雷光が天から山へ落ちる。
満月と雷!
なんという組み合わせだろう。
私は思わず砂浜を踊りながら走り出した。

さっきまでの恐怖はそこにはなかった。

8/20/2025, 12:10:04 PM

きっと忘れない

6月だっていうのに、入道雲。
まるで真夏のような青空。
そんな日に、あなたは逝ってしまった。

毎日会いに行っていたのに、その日は突然だった。
間に合わなかったことを、どれだけ悔やんだだろう。

あなたをのせた車の後を、それぞれの車が連なって走る。まるで、大名行列のようだ。

車の窓から真っ青な空と、もくもくの入道雲。
決して忘れることはない、梅雨の晴れ間。

帰りの車で思い出したのは、あなたの温かい手。
横断歩道で私の手をひいてくれた柔らかい手のひら。子供の時、世界で一番美しい手だと思っていた。
ハンドルを握る私の手は、あなたの手とは大違い。

あれから何年もすぎたけれど、あなたのいなくなった日はよく晴れる。
毎年思い出すのはあの日の真っ青な空と、入道雲。
決して忘れることのできない、あなたのいなくなった日。

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