あおいうみ

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8/25/2025, 12:09:09 PM

もう一歩だけ

頭の中のグルグルをノートに書くようになってから、ずいぶん悩む時間が減った。

それでも動悸が止まらなくなるほど、グルグルする時もある。
その時は掃除をしてみる。
悩みがなくなるわけではないが、気づけば動悸はとまっている。

悩むより考える方が冷静になると気づいたのも最近だ。
でも、何十年も感情お化けを背負って生きてきたので、お化けの重さに耐えきれなくなることもある。

まだまだ足りない。書け、動け、考えろ。
もう一歩だけ進めば、自分という枠組みを外から冷静に眺める事ができるんじゃないか?
ずっとしてこなかった書くという行為に救われながら、その境界線を大股で飛び越えてみたい。

8/24/2025, 11:55:37 AM

見知らぬ街

はじめて行く街は匂いがちがう
普段自分の住んでいる場所とは違った匂い。
そこに住んでいる人達なのか、建物なのか、温度なのか。

だからはじめて行く街は落ち着かない。
慣れない匂いに、そわそわドキドキしてしまう。
それが見知らぬ街を訪れる醍醐味なのかもしれない。

そして、住み慣れた場所に戻ると馴染みの匂いにほっとする。

子どもの頃、友達の家に遊びに行くと自分の家とは違う匂いがして、やはり落ち着かなかった。
その感覚に近いのだろう。

自分はあまりアクティブなタイプではないので、住み慣れた場所、家にいるのが一番落ち着く。
でもたまに見知らぬ街を訪れた時だけ感じる、あの妙なドキドキ感に憧れてでかけたくなる。
矛盾はしてるけれど、嫌いではないんだな。

8/24/2025, 9:00:45 AM

遠雷

満月の日、月の明かりだけで歩く。
昼間のように明るい田んぼの真ん中を、足音だけがカサカサ響く。

田んぼの先は海へ続く道。
松の木が生い茂り、光をさえぎる。
急に真っ暗になり足音と同じくらいに、自分の心臓の音が外に漏れ出している気がする。

松林の奥は、目をこらしてもこらしても闇。
風の音か、生き物の動く音か。
足音以外の何かに全身から汗がふきだす。
若干小走りになりながら、坂道を登る。
体がうずうずとするほどの恐怖。

坂道を登り切り、平坦な1本道を走る。
早くこの闇を抜けなければ。

ぱっと目の前が明るくなって、視界がひらける。
明るい満月の下、白く光る海。
まんまるい月が海に映ってはぼやけ、映ってはぼやけて波の上を泳いでいるようだ。

海の先にはワニの形の山。
ピカっと雷光が天から山へ落ちる。
満月と雷!
なんという組み合わせだろう。
私は思わず砂浜を踊りながら走り出した。

さっきまでの恐怖はそこにはなかった。

8/20/2025, 12:10:04 PM

きっと忘れない

6月だっていうのに、入道雲。
まるで真夏のような青空。
そんな日に、あなたは逝ってしまった。

毎日会いに行っていたのに、その日は突然だった。
間に合わなかったことを、どれだけ悔やんだだろう。

あなたをのせた車の後を、それぞれの車が連なって走る。まるで、大名行列のようだ。

車の窓から真っ青な空と、もくもくの入道雲。
決して忘れることはない、梅雨の晴れ間。

帰りの車で思い出したのは、あなたの温かい手。
横断歩道で私の手をひいてくれた柔らかい手のひら。子供の時、世界で一番美しい手だと思っていた。
ハンドルを握る私の手は、あなたの手とは大違い。

あれから何年もすぎたけれど、あなたのいなくなった日はよく晴れる。
毎年思い出すのはあの日の真っ青な空と、入道雲。
決して忘れることのできない、あなたのいなくなった日。

8/19/2025, 8:37:49 AM

足音

歩けるようになったばかりのころ、あなたはいつも私の後をついてきた。
トイレに行くのにも、台所へ行くのにも、いつもいつもトコトコとついてきた。
もちろん、どこのドアもぜーんぶ開けっぱなし。
あなたがどこでもトコトコ行けるように、ドアは閉めないようにしていた。

ある日、あなたがすやすやお昼寝してくれたので
「お、今ならトイレに行けるかも」
と私はそうっと起き出した。

いつもなら、開けっぱなしで入るトイレ。
音がしないようにそっと閉じる。
やっぱり、トイレのドアは閉まってる方が落ち着くなぁ。あれ?

ちっちゃい音が聞こえてくるよ。
トコトコ歩く足音と、半分泣きながら私を呼ぶ声。
「ここだよー、トイレだよー」
と叫ぶと、トコトコがトットッと走り出して止まった。
「わーん、ちゃーん(お母さん)」
ドアの向こうで大泣きしているあなた。
焦って用を済ませドアを開ける。

大泣きのあなたを抱き上げて、またお昼寝の布団に一緒に横になる。
しばらくヒックヒックとしていたけれど、ぎゅーっとしたらまた眠ってしまった。
まだまだトイレはオープンだなと、小さな背中をトントンする。

それはたった10年前のこと。
今あなたの部屋はドアがしっかり閉まっている。

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