10/3/2023, 10:03:54 AM
巡り合わせがよかったのか、悪かったのか。
それを確かめるために、オレは、ふたつの世界を観測することにした。
両親が行方不明にならなかった世界では、オレは、おまえとは出会わない。そして、ひとりで殻に籠り死んでいく。
両親が行方不明になった世界では、オレは、おまえと出会い、もがきながら社会で生きていく。
やっぱり、おまえと出会わず凪の中を生きるより、出会って嵐の中で生きる方がいい。
10/2/2023, 10:23:06 AM
そもそも、関われたことが奇跡だったのだ。
アイツは、外に出ない奴で、家族しか信用してなかったんだから。
だけど、一度交わってしまった線を、どうやって平行線にすればいい?
もう戻れない。戻りたくない。
俺は、記憶を消せないんだぞ。
また奇跡が起きたら、おまえの隣にいられるだろうか?
10/1/2023, 10:10:14 AM
誰だろう? このお兄さん。
なんだか、少し怖い人に見えるけど。
オレが戸惑っていると、金髪のお兄さんは、優しく頭を撫でた。
ああ、なんだ。この人は、信頼出来る。
オレは、笑顔を向けて、知らないお兄さんに自己紹介した。
9/30/2023, 10:23:01 AM
ずっと喪失を抱えているけど、オレは大丈夫だ。
今日も、明日も、明後日も、おまえが隣にいてくれるから。
悪夢を見る夜には、手を握ってくれる。雨の日、傘を差してくれる。
本当に、ありがとう。
おまえが困っていたら、オレが手を差し伸べるから。だから、オレを呼んでくれ。
9/29/2023, 10:27:47 AM
眠っているおまえを見ている。
オレは、しょっちゅう魘されてるらしいけど、おまえはそんなことない。
静かに、穏やかに寝ている。
ぎこちない手つきで、頭を撫でた。
「いつも、ありがとう」
ぽつりとこぼした言葉は、部屋の空白に溶ける。