17時になる少し前。
夕方が早まって
同じ一日でも短いような
寂しい気持ちになる。
長く伸びる影と
一緒に歩きながら
冬を思う。
また1年が終わろうとしている。
予定がいっぱいあるわけでもないのに
なんとなくそわそわしてしまう。
肌寒さを感じて空を見上げる。
帰ったらコーヒーでも入れて一息つこう。
そろそろ始まる冬支度に
わくわくしながら。
-秋風-
青白い月がこちらを見ている。
いつも通りに眠りに就いたのに
なぜか目覚めてしまった午前3時。
なんとかもう一度眠ろうと目を閉じるけれど、
休息は訪れる様子もない。
諦めて起き上がる。
カーテンを開けると月の光が眩しい。
ねぇ、月は寂しくないの?
暗い夜にたったひとり。
そうでもないよ。
あなたのように眠れない夜を過ごす人が居るからね。
そんな人たちをそっと照らして
時にはこうやって話をして。
そっか。
それなら寂しくないね。
そうだよ。
だからあなたもひとりじゃない。
訳もなくどうしようもなく寂しくなったら
月が居る事を思い出して。
朝が来て一日が始まったら
ちゃんと夜が来るからね。
-また会いましょう-
生か死か。
私たちはそういう運命だったのだ。
生まれや生き方など何も知らずに
共に過ごしたあの幼き日々から。
最初から敵として出会えていたら
どんなに良かっただろう?
友として出会わなければ
どんなに楽だっただろう?
今向かい合って差し出すものが
刃ではなくお互いの手であれば
私はお前の手を握り
しっかりと抱きしめるだろう。
次に動けば全てが決まる。
静寂。
滲む汗。
互いの思いを殺し、
同じ刹那、踏み出した。
-スリル-
雲ひとつない青空。
冬のピンと張りつめた空気の中を歩くのが好きだ。
朝の冷たくて新しい空気を吸い込むと
身体の中がきれいに生まれ変わるみたい。
新しくなった身体で毎朝願う。
今日こそは前に 進めますように。
思い出から離れられますように。
あなたを忘れられますように。
そうやってまた
同じ朝を繰り返している。
-飛べない翼-
暗い。
真っ暗闇だ。
音も聞こえない。
誰もいない。
ただ。
延々と繰り返される光景に
胸を締め付けられるだけ。
それまで見た事がなかった
幼さの残る素直な笑顔。
絶対に失いたくない。
そう思ったのに。
今はただ。
切り取られたその瞬間に
囚われて苦しめられるだけ。
-脳裏-