Fawn

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10/20/2022, 12:03:38 AM

イルミネーション。
街がオレンジ色に染まる。

足早に歩く人、幸せそうな恋人たち。
プレゼントの相談でもしているのか、
母親と嬉しそうに歩く小さな女の子。

ああ、やっと見つけた。

30年前のわたし。
おもちゃ屋さんでぬいぐるみを楽しそうに選んでいる。

で、その向こうでプラモデルを抱えてるのが僕だね。

彼が言った方に目をやると、
女の子より少し幼く見える男の子が大きな箱を抱えている。

ふたりの出会いをさかのぼったら、
こんなに昔まで来てしまった。
幼いふたりはまだ知らない。
将来とても大事な人同士になる事。


-すれ違い-

10/18/2022, 10:04:34 PM

乾いた空。
少し冷たい風。

赤や黄色の落ち葉の絨毯。
足元の感触。
焦げ茶のブーツが嬉しそう。

これから寒くなるというのに
心はちょっと暖かい。


-秋晴れ-

10/18/2022, 12:32:28 AM

初めて会ったのは満月の夜だった。
僕の命の灯火は消えようかという所だった。

たまたま通りがかったであろうその人は、
その大きな手で僕を包むと、そっと抱きしめてくれた。

僕はとても胸がポカポカして、
夜だったのに日向ぼっこしてるみたいに
気持ち良くて、眠くなって。
野良猫だった僕は、最後の最後に幸せを教えてもらった。

あの時から。
ずっとその人のそばにいる。

僕が何度生まれ変わろうと。
その人が何度生まれ変わろうと。
嫌われている時があっても。
遠すぎて、見つけるのが大変でも。

あの夜の日向ぼっこが、
僕の胸をずっと温めてくれているから。


-忘れたくても忘れられない-

10/17/2022, 1:10:34 AM

休日の朝。
いつもより少し寝坊した。

カーテンが風に揺れている。
コーヒーの香りがちょっと苦い。
でもいい匂い。

おはよ。
冷蔵庫に玉子残ってたから使ったよ。

ベーコンエッグ。
トーストとバターの香り。
彼の作るごはんは
私のより完璧だ。

ありがとう。いただきます。
ほんとに上手だね。
焼いただけだよ。

窓の外を眺める。
今日は何をしようかな。


-やわらかな光-

10/16/2022, 5:14:41 AM

青くて、暗い。
透明で、月のように寂しい。

空気を切り裂く、静かな閃光。
鏡のような水面に落ちる、一粒の雫。

すべてを見透かされるような、
焦りと安堵。


-鋭い眼差し-

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