Fawn

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10/14/2022, 10:52:25 PM

シャボン玉が飛んでいく。
子どもの頃以来だ。

空が透けて青く見える。
時々虹色が見えて、
消えるまで見とれてしまう。

ある時、シャボン玉の歌は
子を亡くした親の悲しい歌だと知った。
それ以来、シャボン玉そのものが
悲しいものに思えて触れずにいた。

小さな球体の中に
どれだけの悲しみが詰まっていたのだろう。
どれだけの愛が詰まっていたのだろう。
どれだけの未来が詰まっていたのだろう。

ふぅっと吹いたシャボン玉。
ほとんどが壊れてしまったのに、
一つだけふわふわと登っていく。

壊れないでと願いながら、
見失うまで見つめていた。


-高く高く-

10/13/2022, 11:08:52 PM

風が吹く。
緑一面の原っぱが波打つ。

雨。
丸くなった雨粒が葉の上で跳ねている。
生まれたばかりの妖精のよう。
滑り台をスーッと降りるように
葉っぱをつたって地面に落ちる。

暖かい光。
地面に落ちた雨粒から小さく芽吹く。
光を浴びた小さな芽はどんどん伸びて
赤い綺麗な花が咲いた。

緑の中の赤い花。
守るように、でも覆いかぶさってしまわないように
原っぱは今日も風に吹かれている。


-子供のように-

10/12/2022, 11:05:25 PM

今日終わった後、時間ある?
話したい事があるの。

やけに神妙な面持ちで彼女は言った。
だいたい何を言われるかは想像がつく。

めんどくさいなぁ。

内心思っている事は顔に出さず
予定があると適当に嘘をついて断った。

どうして人は所有したがり、されたがるのだろう。
自分の感情すらままならないのに。
愛だの恋だの言って相手の機嫌を伺って、
一人では感じる事もない感情にわざわざ苛まれる。

校舎が離れていく。
ちょっとした危機から逃れてほっとする。
今頃オレンジ色になった教室で
残された彼女の胸の内を想像する。

めんどくさいなぁ。


-放課後-

10/11/2022, 9:54:54 PM

23時。
青暗さが部屋を支配する。

窓の外から入り込む月は
少し頼りなく、
そっと私に寄り添う。

太陽がなければ月は輝けない。

ずっとあなたを照らしていたかった。
疲れた時は温かく包み込む光でいたかった。

守られていたのは太陽だったのかもしれない。
月はいつも太陽を見つめている。


-カーテン-

10/10/2022, 1:51:43 PM

水色の青。
透明なガラス。

水に、色なんてない。

私は何を見ていたんだろう。
僕は何を知っていたんだろう。

あなたの。
きみの。

立ち止まる。
歩き出す。


離れてく。


-涙の理由-

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