Fawn

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シャボン玉が飛んでいく。
子どもの頃以来だ。

空が透けて青く見える。
時々虹色が見えて、
消えるまで見とれてしまう。

ある時、シャボン玉の歌は
子を亡くした親の悲しい歌だと知った。
それ以来、シャボン玉そのものが
悲しいものに思えて触れずにいた。

小さな球体の中に
どれだけの悲しみが詰まっていたのだろう。
どれだけの愛が詰まっていたのだろう。
どれだけの未来が詰まっていたのだろう。

ふぅっと吹いたシャボン玉。
ほとんどが壊れてしまったのに、
一つだけふわふわと登っていく。

壊れないでと願いながら、
見失うまで見つめていた。


-高く高く-

10/14/2022, 10:52:25 PM