Fawn

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初めて会ったのは満月の夜だった。
僕の命の灯火は消えようかという所だった。

たまたま通りがかったであろうその人は、
その大きな手で僕を包むと、そっと抱きしめてくれた。

僕はとても胸がポカポカして、
夜だったのに日向ぼっこしてるみたいに
気持ち良くて、眠くなって。
野良猫だった僕は、最後の最後に幸せを教えてもらった。

あの時から。
ずっとその人のそばにいる。

僕が何度生まれ変わろうと。
その人が何度生まれ変わろうと。
嫌われている時があっても。
遠すぎて、見つけるのが大変でも。

あの夜の日向ぼっこが、
僕の胸をずっと温めてくれているから。


-忘れたくても忘れられない-

10/18/2022, 12:32:28 AM