君のくれたマグカップは
デザインも使い勝手もちょうど良くて
ずっと使ってる
僕は人と物は関係ないという
タイプだから
君と別れてからも関係なく
気に入ったこのカップを使ってるんだ
いつのまにか8年も経って
君がくれたということすら
忘れてたけど
茶渋を洗ってピカピカにしたら
貰った時のことを思い出した
あれこれ悩んで店をはしごしたって
言ってた
大きさ、形、色合い、取っ手
選びに選んだよって
その時の君の気持ちが嬉しくて
余計大切になったんだな
僕に合うカップを選んでくれて
ありがとう
伝えられないけどそう思っている
マグカップに
コーヒーをいれて
今日はミルクも少し
世界のどこかにいる君が
幸せでありますように
そんなことを思いながら
またいつもの日々を過ごしてゆく
(テーマ マグカップ)
失恋したての日曜日
雨上がりに庭に出ると
花の匂いがした
あたたかな雨が
湿った土が
草木を潤して
伸びやかに空へ向かい
はみだしてゆく
新緑の葉っぱたち
わたしもゆっくり
はみだしてゆこう
部屋でウクレレを弾き
即興でヘンテコな歌を
歌いながら
少し泣いたら雨上がり
素足にサンダル
昨日から伸びをして
夏へゆこう
(テーマ 雨上がり)
菜の花畑の黄色が
一面に揺れていた
青い空に溺れそうなほどの花の波
わたしは端から端まで走って行って
すごいねってはしゃいだ
手を振るあなたの白いシャツが反射して
妙にまぶしく
映画のワンシーンのようで
不意に泣きたくなった
永遠ってもしかしたら
こんな一瞬なのかもしれない
溢れそうなほどの幸福が
名残惜しくて
手放せないような
もう二度と…?
あぁ、そんな風に惜しむ今一瞬を
大切にしていきたいね
そんな時をあなたと作っていきたい
(テーマ もう二度と)
笑いながら駆け抜ける少年は風の子
花柄のワンピースのあの子が
お気に入り
麦わら帽子を飛ばしてしまえ
髪の毛なんてグシャグシャにしてやるんだ
スカートめくりもお手のもの
大好きなのにいたずらばかり
でもあの子は何も気づかない
つむじ風に舞い上がった砂埃に
少し目を細めただけ
いつまでたっても
どんないたずらをしても
あの子には少年は見えない
癇癪を起こし
泣きながら駆け抜ける少年
桜の花びらをみんな散らして
薔薇の花をちぎってゆく
少女はふと振り返る
わたしの帽子を飛ばしたのは誰?
わたしの手から
風船を奪ったのは誰だろう?
シャボン玉を打ち返してきたのは誰?
かけっこの時
背中を押してくれたのは?
いつかわたしは
知ることができるでしょうか
(テーマ 誰かしら)
雨続きの日は
コートも湿って重たくなる
傘を伝う雫が肩を濡らして
なんとなく不機嫌な君
話しかけても
うんしか言わないね
うねる髪はまとまらないし
ボタンは取れそうだし
ファンデのミラーが割れて
なんだかもう…
待ち受けにしてる
いつか君と見た虹
そんな自分の気持ちすら
健気すぎてやってらんない
と思う日がある
モノクロの街から
逃げ出したくなったわたしを
早くつかまえてよ
キラキラと七色に輝いた
あの時の気持ちが消えちゃう前に
どうしたの?って
目を合わせてくれるだけで
いいんだよ…
(テーマ 君と見た虹)