笑いながら駆け抜ける少年は風の子
花柄のワンピースのあの子が
お気に入り
麦わら帽子を飛ばしてしまえ
髪の毛なんてグシャグシャにしてやるんだ
スカートめくりもお手のもの
大好きなのにいたずらばかり
でもあの子は何も気づかない
つむじ風に舞い上がった砂埃に
少し目を細めただけ
いつまでたっても
どんないたずらをしても
あの子には少年は見えない
癇癪を起こし
泣きながら駆け抜ける少年
桜の花びらをみんな散らして
薔薇の花をちぎってゆく
少女はふと振り返る
わたしの帽子を飛ばしたのは誰?
わたしの手から
風船を奪ったのは誰だろう?
シャボン玉を打ち返してきたのは誰?
かけっこの時
背中を押してくれたのは?
いつかわたしは
知ることができるでしょうか
(テーマ 誰かしら)
雨続きの日は
コートも湿って重たくなる
傘を伝う雫が肩を濡らして
なんとなく不機嫌な君
話しかけても
うんしか言わないね
うねる髪はまとまらないし
ボタンは取れそうだし
ファンデのミラーが割れて
なんだかもう…
待ち受けにしてる
いつか君と見た虹
そんな自分の気持ちすら
健気すぎてやってらんない
と思う日がある
モノクロの街から
逃げ出したくなったわたしを
早くつかまえてよ
キラキラと七色に輝いた
あの時の気持ちが消えちゃう前に
どうしたの?って
目を合わせてくれるだけで
いいんだよ…
(テーマ 君と見た虹)
全てを賭けてきた
スポーツ選手たちが
光って
揺れて
激って
ふだん、スポーツなんて興味のない
わたしの心まで熱くさせる
気の遠くなるような努力を
どれほど積み重ねたんだろう?
苦しいほどのストイックさで
何を追ってきたのだろう?
その一瞬
歓声が沸き起こる
あぁ、すごいな。
なんて魂なんだ
その強さにその美しさに
涙が…溢れる
(テーマ 透明な涙)
余り野菜をたっぷり煮込んだスープ
まぁるくてスベスベのボタン
友達からの年賀状(今年も息災のよう)
トリッキーな色の段染め毛糸
チョコの包み紙
一段ぬかしで駆け上がる階段
小枝の落ちてる冬の公園を通ること
焼きたてのパンを抱えて帰る道
タンポポ色のカーディガン
あなたと並んでテレビを見ること
シナモンたっぷりのマサラチャイ
帽子をかぶって鏡を覗くこと
etc.
(テーマ 幸せとは)
パッと思いついたまま書いてみました。
警報のベルが鳴り響く
キケンキケン…近づくな!
キケンキケン…好きになるな!
それなのに彼女のいるあの人を
どんどん好きになってしまう
近づいていってしまう
一緒にご飯を食べに行って
くだらないことで笑って
その映画、俺も見たかったんだ
行こうよって…
どういうつもり?
警報のベルが鳴り響く
これ以上これ以上これ以上…
なのに…
その日?空いてるよと応えていたわたし
あぁ、たぶんもうすぐ
この世界に限界が来て
壊れてしまうね
警報のベルが大きく鳴り響く
これで最後これで最後
これで……最…後
(テーマ ベルの音)