少年は視線を感じて振り向く
ポニーテールの女の子が
こちらをじっと見ていた
…どこかで会ったことあったっけ?
わりと可愛い子だな
もしかして僕のこと好きなのかな
いや…ないよな
彼女の知り合いに似てるとか
せいぜいそんなとこだろ
少年はそう考えて
遠去かって行った
少女は少年に気づいた
この駅で時々見かける
涼しげな目元の
わりとカッコいい男の子
少女は駆け寄って
よっぽど話しかけようかと思った
でも、恥ずかしくて
迷ってるうち、少年は行ってしまった
少女は言いたかった…
「チャック開いてますよ」
(テーマ言い出せなかった「 」)
あるあるかな!?
永い夜の灯りの下
ページをめくる音が好き
少しくたびれた毛布にくるまって
夢中で読んでゆく推理小説
主人公は若き青年探偵、ジャン=クルー
夢の中で逢いましょう
(テーマ ページをめくる)
うだるような暑さが
やっと少しマシになった夕方
5月から半袖だから
いつしか季節は
他人事のようになってきて
夏という情緒を感じられず
夏というより暑(あつ)だなと思う
1日の疲れがどっと押し寄せるなか
バタバタと
夕飯の買い出しと支度に追われる
早いもので
八月も終わりそうだ
ビールを冷蔵庫に押し込んで
八月もお疲れ様でした!
と呟いてみた
(テーマ8月31日午後5時
今日のそのまんまのわたしです)
よい香りの入浴剤を入れて
ゆっくりお風呂に浸かり
久しぶりに
髪のトリートメントパックをした
お風呂上がりには
よく冷えた頃合いのアイスティーを
グラスに入れて
買ってきた本を読みふける
そんなささやかなことで
わたしはわたしに戻り
少しずつ元気を取り戻す
一人でいたいとか
そういうことでもないんだけど
それをあなたに説明するのが
少し面倒なんだよなぁ
と思ったりする
(テーマ 言葉にならないもの)
幼い頃は無限にあった時間
あの頃と青空は変わらないけれど
いつからか時は流れ始め
いつのまにか
産まれただけのわたしが生き始め
今を生きている
歩いて来た道が過去になってゆく
当たり前の不思議に気がついた
15の春
可能性という言葉をお守りにした
未来に目印をつけて
恐がっていたり
ときめいたり
苦しいことは
ジャンプして追い越したいけど
それは出来なくて
いいことも悪いことも
わたしになってしまうから
まいったネ
後悔したり考えすぎたり
泣いたりしながら
またわたしに戻って
のろのろ歩き出す
一喜一憂しながら
心ときめくことを探して
少しずつ今を生きてる
(テーマ 今を生きる)