幼い頃は無限にあった時間
あの頃と青空は変わらないけれど
いつからか時は流れ始め
いつのまにか
産まれただけのわたしが生き始め
今を生きている
歩いて来た道が過去になってゆく
当たり前の不思議に気がついた
15の春
可能性という言葉をお守りにした
未来に目印をつけて
恐がっていたり
ときめいたり
苦しいことは
ジャンプして追い越したいけど
それは出来なくて
いいことも悪いことも
わたしになってしまうから
まいったネ
後悔したり考えすぎたり
泣いたりしながら
またわたしに戻って
のろのろ歩き出す
一喜一憂しながら
心ときめくことを探して
少しずつ今を生きてる
(テーマ 今を生きる)
危なげのない未来を裏切りたくて
わたしは生意気な瞳を
していたでしょうか
あれは20歳(ハタチ)
良くも悪くも
わたしたちは恐い物知らずな
青い風のようだった
人生の扉を開けた時から
少しずつ年をとり始め
それから
恋をすると好きな人が
世界の全てになってしまうような
恋もして
失恋して酔っ払って泣いた
誰かになりたくて
何かを掴みたくて
自分のことさえわからず
もがいていた
あれは20歳
人生の夏を荒々しく
わたしたちは駆け抜けた
心のままに吹きぬける
青い風のようだった
(テーマ 青い風)
いつの間にか
いい人を演じてしまっていた
曖昧な笑顔でごまかしてきた
そんな自分に嫌気がさす夜
犬の遠吠えが聞こえてきて
あおおーん。と
わたしも鳴きたくなった
今すぐ駆け出して
どこか遠くへ行きたい
今すぐ自分の殻を脱ぎ捨てて
変わりたいよ
でも変わる時はそんなすぐ
綺麗に変われなくて
じわじわとダラダラと
醜い時間を過ごしてようやく
変われるのかもしれない
夜に窓辺で
あおおーん。と心で叫ぶ
一足飛びに遠くへ行きたいけど
そんな魔法はないから
ようやく一歩踏み出し
じわじわとダラダラと歩き出す
今日よりましな自分に
いつかたどり着きたい
(テーマ 遠くへ行きたい)
夕立に降られ
二人で慌てて駆け込んだバス停
なのに5分後には
何もなかったような青空
まいったねって笑いながら
ハンカチをあてる
あなたとわたしの髪から
かすかな夏の匂い
雨に濡れたガードレール
通り過ぎる車の音
雨上がりの土や花の匂い
あなたと同じ空気や匂いを
まとっている気がして
恥ずかしいような
嬉しいような夏のはじまり
(テーマ 夏の匂い)
別れて半年ぶりだね
呼び出された
雨あがりの新緑の町
やり直さない?と微笑んだあなた
Tシャツにジーパンの
なんてことない格好なのに
あなたは輝いて見える
変わらない髪の寝癖が
相変わらず可愛い
そんなとこだってまだ好きだ
だけど
やり直さない
笑顔であなたに応えていた
その言葉をずっとずっと
待っていたのになぜだろう
短く切った髪と
薄手のブラウス
似合うって言ってくれてありがとう
泣きたいくらいまだ好きだよ
だけどわたし達はもう別の未来へ
歩き出してしまったから
決意のような青空を背負って
輝く白い太陽
夏だね
(テーマ 夏の気配)