午後の陽射しの中
街をゆく影絵のわたし
花の影は色もないのに
うっすらと色づいていて
いつか見た夢のよう
樹の下を歩けば
影の隙間から
木洩れ日が落ちてきて
髪に肩にひらひらと
後から後から
光のかけらが降り注ぐ
スローモーションで過ぎてゆく
ほんのひと時
光と影の中を歩く
こんなに綺麗な世界に住んでいる
娘たちは糸を紡ぎながら
歌を歌う
昨日見た夢 教えておくれ
それはわたしの歌になる
糸になる
あの海の波のきらめきも
砂に書いたあの人の名前も
失ってしまった約束も
あぁ、それは眩しい光
金色の糸にして
紡いでゆきましょう
糸車は軋みながら
想い出全て巻き取ってゆく
なおも娘たちは歌うだろう
いつか見た夢 教えておくれ
それはわたしの歌になる
糸になる
あの人の瞳に映っていた私も
振り向いた空も
飛び立った小鳥も
あぁ、それは青い記憶
青い糸にして
紡いでゆきましょう
糸車は軋みながら
運命さえも巻き取って
歌いながら 泣きながら
娘たちは美しい夢を
紡いでゆくよ
(テーマ 君が紡ぐ歌)
女性歌手の切ない歌声が
ラジオから流れてきて
涙がこぼれ
わたしの心が
竜巻のように吹き荒れる
La La La goodbyeなんて
歌わないで
そんな綺麗なものじゃないわ
夢を見て、泣きながら目が覚める
名前を叫び続けても
もう返事は返ってはこない
月明かりにそっと日記を閉じた
本当の気持ちは文字にできない
2度と会えない場所へ
私がゆくのか
あなたがゆくのか
La La La goodbye
気やすめの呪文のように
繰り返されるメロディー
La La La goodbye
いつか心から
あなたへ歌いたい
その日
私たちはいつも通り起きて
テレビをつけて
朝食を食べる
茄子のお味噌汁とサバの塩焼き
やっぱ和風だねなんて話しながら
今日の夜には惑星がぶつかり
世界が終わると
ニュースは告げる
こんな時でも
働くニュースキャスターや
カメラマンがいる
看護士さんやお医者さんもいて
わたしはそんな人たちを心から
尊敬する
スーパーは5日前に閉まってしまった
その頃にはほとんど
商品という商品は棚から消えてたけど
冷凍食品やカップ麺など
買い置きも多少あったから助かった
ここ1週間は加減しながら
なんとか食べてきた
地球に大きな惑星がぶつかって
燃え尽きるとか
津波が起こるとか言ってるけど
ほんとのところはわからない
選ばれた人たちはロケットで
昨日、宇宙へ飛び立ったという
現代はノアの方舟もハイテクだ
外は土砂降りになってきて
強くなる雨と雷の中
あなたとわたしは毛布にくるまって
抱き合って眠る
ありがとう
出会えた全ての人に
年老いた地球に
もしも世界が終わるなら
瞳を閉じて
静かに地球の欠片になろう
(もしも世界が終わるなら)
ひどいひどいって泣いても
まだ足りないくらい辛いけど
あんな人、もういいや。
泣きながらでも旅に出よう
犬だったら世界の果てまで駆けて行って
夕日に吠えるのに
魔女だったら箒に乗って
彗星の尻尾を追いかけるのに
人間の女ってつまんないね
電車に乗ってガタゴト
のろのろとしか進まない
センチメンタルジャーニー
わたし一人旅好きなんです
という顔をしながら
ココロを引きずって歩く
あんな人、まだ好きだ
魔女だったら呪いをかけてやるのに
犬だったらおしっこを…
いやいやそれはちょっと待て 笑
どうせなら笑いながら旅だとう
電車に乗ってガタゴト
失恋ソングを聴きながら
今はまだ遠い未来へ
センチメンタルジャーニー
(テーマ センチメンタルジャーニー)