わたしは大人になれたよね?
わりといい学校を出て
そこそこの仕事にありついて
優良物件の彼とも結婚間近
数年後には可愛い子どもも産まれて
きっと絵に描いたような幸せな
人生を送るでしょう
安心してねパパ、ママ
だけど…
本当は全部
やめてもいいかなって
思ってしまったりするの
全部やめて海外へ行って
働いてみようかな
先のことはどうなるか
わからない
でもその方がわたし
ワクワクして
人生を生きれそうな気がする
わたしはまだ子どもなのかな
時々そんな夢を見たくなる
いつか…何もかも捨てて
飛んでゆきたいという衝動を
抑え切れるか不安なの
… 冗談よ?
マリッジブルーってやつ
そんな不安そうな顔をしないで
安心してねパパ、ママ
わたしはいつでも
かしこい選択をしてきたわ
きっと今度も大丈夫…
(テーマ 安心と不安)
なぜか気がつくとエジプト
ピラミッドをいくつも周り
わたしは
ずっと何かを探していた
ツタンカーメンのお宝か
ネフェルティティの首飾りか
隠された鉱脈だったか
何だったかしら?
何を探しているかも忘れたのに
急かされるようにずっと探していた
外の空気を吸いに外へ出ると
眩しい太陽と渇いた砂埃が舞って
一台のジープが目の前に止まった
インディージョーンズのような
サファリシャツを着た男性が
降りてくる
懐かしさに胸がつまる
あれ?こんなとこにいたの?
あなたは能天気に
わたしに笑顔で話しかける
あぁ、そうだ、あなただ
わたしが探していたのはこの人だ
ずっと探していたのよ
どこで寄り道してたの?と
わたしは軽く怒ったフリで
あなたの髪を引っ張る
イタタ…何すんだよ、と笑うあなた
痛いなら本当だね
ほんとに会えたんだね
あぁ、会いたかった
ずっとずっと会いたかった
喜び、抱き合おうとしたその瞬間
砂嵐が舞い、何も見えなくなる
あなたの名前を叫びながら
襲いくる砂嵐に呑み込まれてゆき…
わたしはゲホッと砂を吐き出し
ものすごい喪失感で目を覚ます
夢だ
また、夢だ
あなたを失ってから
そんな夢を何度も見た
あと何度、あなたを失えば
わたしの脳はあなたを探すことを
やめてくれるのだろうと
とても辛かった
そうして、あなたはもういないのだと
思い知るほかなかった
サヨナラの後のリアルな別れ
テーマ こんな夢を見た
※ (実話)あの頃は辛かったな
会いたい人がいるような
そんな予感を抱えて生きていた
スキもキライも
よくわからないままに
周りがカレシカノジョと言い出して
騒がしくなり
僕も恋をしてるフリをした
運命の人っているのか
本当の愛ってどんなものなのか
僕は知らない
だけど
僕の世界をひっくり返す
そんな君に会いたくて会いたくて
僕はあの子にサヨナラを告げる
キミジャナイミタイ
そんなこと言えないんだけど
君に会いたくて会いたくて
あぁ、どこへ行けば
誰に聞けばわかるんだろう
寂しくて僕は面倒になって
君じゃないなら
ダレデモイイミタイ
そんなこと言えないんだけど
いつか出会うはずの
君に会いたくて会いたくて
存在するかもわからない君を
待ち続けている
(テーマ 君に会いたくて)
今から少し昔の話
悲劇の歴史女王は
日記をつけていたという
あの日記どこへ行ったのかしら
牢屋に繋がれた女王は
あれはわたしのプライベートだからと
恥ずかしそうに言う
実らなかった初恋
結婚する時のとまどい
夫を戦地へ送る心細さ
飢饉の時の粗末な食事
子供の成長
刺繍の模様デザインなど…
どれもたわいのない日々のことなの
あの日記が人に知られたらと思うと
それだけが心残りよ
侍女は言う
奥様大丈夫ですわ
ごく平凡な内容だったので
誰にも気にされず
わたしの日記として
娘が持ち出しました
あぁ、良かった
強いわたしの心の中は
ささやかな夢を見ている
弱い女だったとは
知られたくなかったの
家族を愛してただ生きていた
そんなわたしを閉じ込めた
日記のことは秘密よ
今から少し昔
悲劇の歴史女王は
女王らしく凛として死んだと言う
お城の侍女の日記は同じ頃
村の片隅で火にくべられた
日記は女王と共に天国に昇っていった
現在…お城には何重にも鍵のかかった
立派な本があり、それはこの国の宝
かつての女王の日記だと伝えられている
俺は日記を見たことあるんだよ
稀代の怪盗は声をひそめ
恋人に打ち明ける
あの日記を盗んでやろうと
思ったんだけどさ
あの日記は偽物の白紙だったんだ
盗む価値などなかったんだ
だから俺は前以上にガチガチに鍵をかけて
とんずらしたよ
何百年か後
中身だけ盗んだ怪盗がいたなんて
噂になるかもしれない
そうなったら愉快だろ?
空の上
のんびりと庭を歩く娘がいた
最近、役割を終えてここに来たと
清々しく笑った
日記に綴られていた平凡な娘だ
やわらかな陽射しと
はためく洗濯物
彼女の名を呼ぶ声がして
幸福な想いに溢れそうになりながら
娘は振り返る
風が吹いて
ベランダのテーブルに置いた
日記帳の
白いページがめくられてゆく
(テーマ「閉ざされた日記」
ミニストーリーを考えてみました)
その冬
わたしはたくさん暇つぶしをした
こたつに入って
パズルを延々と組み立ててみたり
おとなのぬり絵を
そりゃもう丁寧にぬりはじめたり
(30分すると飽きる)
ドイツ語なども無意味に覚えてみたりした
外では木枯らしがビュービューと
脅すように吹いていたけれど
わたしは安全なところで
本当はやらなければいけないことを
全部無視して
だらだらと過ごしていた
そうして春になるまで
冬眠するように
冬を過ごした
それはあなたと別れた冬
わたしは少し未来を見失って
途方に暮れたけど
いい大人だから
あなたの相手はわたしではないと
納得もした
だけど少し世界を止めて
冬の中に閉じこもりたくなったんだ
本当は最後の日
みかんを投げつけて
全部投げつけてやろうかと思ったの
何ふざけたこと言ってんのと
でも、みかんが潰れたら
なんだかやだな…と
どこか冷静なつまんない
わたしだったから
「わかった」と応えただけ
木枯らしがせめて
あなたに冷たく吹けばいい
わたしはこたつにくるまって
しばらくは
青春の無駄づかいのように
暇つぶしを続けるだろう
(テーマ 木枯らし)