忘れないよ この街のこと
大通りから一本入った裏道
石畳に落ちる自分の影と
話しながら歩く午後
ポストにコトリと手紙を入れて
プロロロロ…と
郵便屋さんのバイクが走ってゆく
この街で
あなたと暮らしてゆきたかったな
銀杏並木が黄色の絨毯をひいて
もうじき冬がやってくる
誰も居ない公園のブランコを揺らして
さようなら、と
秋風が通り過ぎてゆくから
わたしも
あなたと過ごしたこの街を
通り過ぎてゆこうと思う
青く磨き上げた秋の空
街を冷たくけざやかに吹き抜ける
秋風になって
さようなら、と過ぎてゆく
(テーマ 秋風)
翼があるから飛べる
というのは思いこみだぜ?
とペンギンは言った
テレビを持ってるからって
それを作れると言うのは
思い込みだぜ?
と過去にタイムスリップした僕は言った
文明は意外と見掛け倒しなんだよね
愛があるからって
裏切られないというのは
思い込みだぜ?
と彼が言ったかはわからない。が
本能寺は焼けた
愛は大抵身勝手なんだよね
飛べない翼はなんのため?なんだろう
僕が悶々と考えていたら
飾りでいいんじゃない?
と君が呑気に言った
その時から僕は自分の飛べない翼も
まぁアリか、と思い始めたんだ
役に立たないというのは
案外、愛しいものだよね
(テーマ 飛べない翼)
歯を磨きながら彼が言いだす
スキとキスってうまい言葉だよね?
気づいたらスキになってて
好きになるとキスしてる
まぁ…そうだけど…
とちょっと冷めた反応のわたし
しかもさ、永遠にシリトリできるんだよ!
スキキス、キ、ス、キ、ス…!キッ
歯磨き粉の泡をブクブクさせながら
世紀の発見に目を輝かせて
迫ってくる彼
ダメだ、また負けた
また笑ってしまった!
何くだらないこと言ってんだって思うのに
いつも彼のペースに巻き込まれる
だけど永遠にこんな日常が続くといいな
(テーマ 永遠に)
空色の床をダンダダン♪
力をこめて踏み鳴らせ
空の象さんがダンダダン♪
力を込めてステップ踏めば
空気がふるふる震え出し
雨の子ども達が生まれるよ
激しいビートに心を合わせ
力をこめればこめるほど
たくさんの雨がダンダダン♪
雷もつられ
時々ピカリとダンダダン♪
楽しいな楽しいな
力をこめて踏み鳴らせ
(テーマ 力をこめて)
遠い遠い昔
点と点をつないで
夜空に絵を描くように
星座を描いたのは誰?
ひとりぼっちの星達が
繋がってゆけば
果てしない宇宙の片隅で
神話が生まれ出す
ぽつりぽつり話しながら
あなたと歩いた帰り道
夜がこんなに安心できるなんて
不思議だった
ずっと話していたくて
缶コーヒーを持ったまま
2時間もいたね
わたしとあなたの星が
出逢い、繋がってゆき
二人の星座を描き出すよ
どんな物語になるのかな…
(テーマ 星座)