全てを賭けてきた
スポーツ選手たちが
光って
揺れて
激って
ふだん、スポーツなんて興味のない
わたしの心まで熱くさせる
気の遠くなるような努力を
どれほど積み重ねたんだろう?
苦しいほどのストイックさで
何を追ってきたのだろう?
その一瞬
歓声が沸き起こる
あぁ、すごいな。
なんて魂なんだ
その強さにその美しさに
涙が…溢れる
(テーマ 透明な涙)
余り野菜をたっぷり煮込んだスープ
まぁるくてスベスベのボタン
友達からの年賀状(今年も息災のよう)
トリッキーな色の段染め毛糸
チョコの包み紙
一段ぬかしで駆け上がる階段
小枝の落ちてる冬の公園を通ること
焼きたてのパンを抱えて帰る道
タンポポ色のカーディガン
あなたと並んでテレビを見ること
シナモンたっぷりのマサラチャイ
帽子をかぶって鏡を覗くこと
etc.
(テーマ 幸せとは)
パッと思いついたまま書いてみました。
警報のベルが鳴り響く
キケンキケン…近づくな!
キケンキケン…好きになるな!
それなのに彼女のいるあの人を
どんどん好きになってしまう
近づいていってしまう
一緒にご飯を食べに行って
くだらないことで笑って
その映画、俺も見たかったんだ
行こうよって…
どういうつもり?
警報のベルが鳴り響く
これ以上これ以上これ以上…
なのに…
その日?空いてるよと応えていたわたし
あぁ、たぶんもうすぐ
この世界に限界が来て
壊れてしまうね
警報のベルが大きく鳴り響く
これで最後これで最後
これで……最…後
(テーマ ベルの音)
彼が彼女に話しかける
わたしも隣にいるのに
見えていないみたい
昨日トリートメントした髪も
キラキラしたネイルも
新しく買った服も
何もかも意味がない
わたしってもしかして
年老いたロバなんじゃないかな
冷えてゆく心
だけどニコニコ笑ってしまう
張り裂けそうなくらい
悲しいのに
青空は無駄に美しく
世界中の誰もきっとわたしに
気づかない
…何でもないフリ?
得意だよ
(テーマ 何でもないフリ)
今は昔のお話です
ここには小さな家があって
西日の差す六畳間がありました
おばあちゃんは老眼鏡をかけてなお
見えないなぁって言いながら
なんとか糸を通し
ミシンをカタカタかけてました
雑巾を縫ったり
お友達に巾着を作ったり
孫娘のお洋服をつくったり
カタタッタタッタッタ
カタカッタ♪
ミシンは楽しそうに歌ってました
その音を聞きながら
いつも寝てばかりの白猫がおりました
陽射しはサラサラ
ミシンはカタカタ
猫はウトウト
そんな部屋の片隅で白猫と並んで
わたしは陽射しの浅瀬に
ユラユラと浸りながら
本を読んでいました
出来たわ
おばあちゃんが嬉しそうに
瞳を輝かせます
とても愛らしい笑顔で
その時、小さなわたしにも
年老いたおばあちゃんが
かつて可愛らしい娘だったことが
不意にわかったりしたのでした
祖母と猫とわたし
それぞれに過ごしながら
不思議な優しい時間が流れていた
小さな部屋のお話
(テーマ 部屋の片隅で)