chai

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12/20/2024, 3:13:39 PM

警報のベルが鳴り響く

キケンキケン…近づくな!
キケンキケン…好きになるな!

それなのに彼女のいるあの人を
どんどん好きになってしまう
近づいていってしまう

一緒にご飯を食べに行って
くだらないことで笑って
その映画、俺も見たかったんだ
行こうよって…

どういうつもり?

警報のベルが鳴り響く

これ以上これ以上これ以上…

なのに…
その日?空いてるよと応えていたわたし

あぁ、たぶんもうすぐ
この世界に限界が来て
壊れてしまうね

警報のベルが大きく鳴り響く

これで最後これで最後
     これで……最…後

(テーマ  ベルの音)

12/12/2024, 2:09:33 AM

彼が彼女に話しかける

わたしも隣にいるのに
見えていないみたい

昨日トリートメントした髪も
キラキラしたネイルも
新しく買った服も
何もかも意味がない

わたしってもしかして
年老いたロバなんじゃないかな

冷えてゆく心

だけどニコニコ笑ってしまう

張り裂けそうなくらい
悲しいのに

青空は無駄に美しく

世界中の誰もきっとわたしに
気づかない




…何でもないフリ?

得意だよ



(テーマ 何でもないフリ)

12/7/2024, 4:24:56 PM

今は昔のお話です

ここには小さな家があって
西日の差す六畳間がありました

おばあちゃんは老眼鏡をかけてなお
見えないなぁって言いながら
なんとか糸を通し
ミシンをカタカタかけてました

雑巾を縫ったり
お友達に巾着を作ったり
孫娘のお洋服をつくったり

カタタッタタッタッタ 
カタカッタ♪
ミシンは楽しそうに歌ってました

その音を聞きながら
いつも寝てばかりの白猫がおりました

陽射しはサラサラ
ミシンはカタカタ
猫はウトウト

そんな部屋の片隅で白猫と並んで 

わたしは陽射しの浅瀬に
ユラユラと浸りながら
本を読んでいました

出来たわ
おばあちゃんが嬉しそうに
瞳を輝かせます
とても愛らしい笑顔で

その時、小さなわたしにも
年老いたおばあちゃんが
かつて可愛らしい娘だったことが
不意にわかったりしたのでした

祖母と猫とわたし

それぞれに過ごしながら
不思議な優しい時間が流れていた
小さな部屋のお話

(テーマ 部屋の片隅で)

11/27/2024, 6:20:11 PM

お休みには
美味しいパンケーキを焼くから

ふたりで一緒に食べようね

カリカリベーコンに
あめ色に炒めた玉ねぎ
茹でたての緑のほうれん草を添えたら

立派な朝ごはんになるかしら?

2枚目はトロけるバターに
れんげ草の蜂蜜をたらーり垂らして
デザート風

ちょっぴり苦い
マンデリンを淹れましょう

日差しの良く入るリビングで
何気ない日々を笑い合って

おじいちゃんとおばあちゃんになっても
そんな風にいようね

(テーマ 愛情)

11/14/2024, 2:31:12 PM

忘れないよ この街のこと

大通りから一本入った裏道

石畳に落ちる自分の影と
話しながら歩く午後

ポストにコトリと手紙を入れて
プロロロロ…と
郵便屋さんのバイクが走ってゆく

この街で
あなたと暮らしてゆきたかったな

銀杏並木が黄色の絨毯をひいて
もうじき冬がやってくる

誰も居ない公園のブランコを揺らして
さようなら、と
秋風が通り過ぎてゆくから

わたしも
あなたと過ごしたこの街を
通り過ぎてゆこうと思う

青く磨き上げた秋の空
街を冷たくけざやかに吹き抜ける
秋風になって

さようなら、と過ぎてゆく

(テーマ 秋風)













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