ノブメ

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1/21/2023, 4:02:59 PM

365日(とプラス1日)、世界の何処かで誰かが主役になれる。
それは誰しもに平等に与えられた権利だ。
だけど、私にはそれが与えられなかった。

あの日、私達の国は粉々になった。
お父さんとお兄ちゃんは、私達を守って火の海に散った。

怪獣は何処かの国が退治してくれて、私達はなんとか生き残る事が出来た。
だけど、あの日は私達の国にとって悲しい日になった。

ゆく年くる年、どこにも行き場のない悲しみと憎しみが、私の国を覆い尽くす。

小さい頃は、それは特別な権利なんだと思ってた。
幼稚園で私だけがお祝いされていない日があることに、おめでたい私は気がつかなかった。

でも、私は他の子よりも早く賢くなってしまった。それが誰しもに与えられた権利で、自分にだけ与えられていない事に気がついた。
私は賢かったから、その訳を誰にも聞かなかった。

今夜、私はいつもと同じ小さな部屋で、テーブルの上に写真立てを3枚並べ、仕事帰りに買ったショコラケーキに蝋燭を立てて火を灯す。

一年に一度の素敵な夜。

Happy Birthday to 私。

「−特別な夜−」

1/21/2023, 8:32:09 AM

赤、青、黄色、緑、白
紫、橙、黒、茶色

光があるから見える色
この世にたくさん生まれた色

私にとっては眩しくて
小さい私は楽しくて

だけど皆は自分の色が
誰の色より愛しくて

だから自分の持ってる色で
誰かの色を塗り替えて

光があるから見える色
誰かに塗り潰された色

私の色は汚れてて
私で誰かが汚れてて

光があるから見える色
光があるから見えるなら

光の届かぬ綺麗な場所へ
私を届けたいのです

「−海の底−」

1/19/2023, 3:40:37 PM

君がいなくなって
私は今すぐにでも同じ場所に行かなくちゃって
でもきっと君は望まなくって
だから私は頑張ったよ

楽しい事をいっぱいしたよ
嫌な事もいっぱいしたよ

歳の離れたお友達を作ったよ

素敵な人を見つけたよ
たくさんの名前をつけたよ

色んな場所に行ったよ
美味しいものをたくさん食べたよ

絵が描けるようになったよ
ピアノも弾けるようになったよ

お別れもたくさんしたよ

あと少しで、最後のお別れをするんだ

悲しいよ
寂しいよ

だけど

やっと君に会えるな
嬉しいな
楽しみだな

今までのこと
これからのこと
いっぱいお話ししようね

「−君に会いたくて−」

1/18/2023, 2:10:54 PM

あなたは言った。「君の全部を知りたい」と。

私は言った。「私の全部を見せたい」と。

あなたについた嘘が増えていく。

あなたが知らない私が残っていく。

あなたが知らない私が降り積もる。

真っ白な嘘が覆い隠した、真っ黒な私。

私の知らない私が笑っている。

あの日の私が泣いている。

「−閉ざされた日記−」

1/17/2023, 10:15:01 PM

私の世界では、あなたに逢えない

あなたに逢えないまま、私はまた一年分の年輪を重ねる

ぬるっとした、だらっとした寒さを乗りこなして

私はこの季節を生きていく

「−木枯らし−」

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