8/23/2024, 10:55:46 AM
「海へ」
子どもの頃に一度だけ
覚えているのは
鈍色空と濁った波
払っても顔に張り付く髪
弾んでいた太陽は
みぞおちから胃の底へ
真っ逆さまに落ちてった
あのとき抱いた感情は
あの景色のせいにして
あのとき飲み込んだ太陽は
今もここで燻っている
8/21/2024, 3:45:08 PM
「鳥のように」
この腕に羽が生えたとしたら
この脚は何のために使うだろう
飛ぶにはあまりに重すぎて
羽は飾りになってしまう
自由を求めて空をみて
鳥に夢みて憧れて
考えつくのは現実で
行きつくところは私だけ
8/20/2024, 10:29:45 AM
「さよならを言う前に」
同じ風が吹いた
思わず振り返った
その先を手繰り寄せるように
あの日この日を思い出す
今日ここからは体温も
目尻の皺も白髪の数も
少しずつ
多分その日が来るまでに
忘れていってしまうだろう
せめて
さよならを言う前に
あの優しい声だけは
心に痛いほど刻みつけたい
8/11/2024, 10:35:49 AM
「麦わら帽子」
風が盗んだ日輪草
暢気にひゅるり飛んでゆく
ワンピースの裾もて余しながら
急いた足音駆けてゆく
8/6/2024, 10:39:50 AM
「太陽」
目の前の世界が覆われても
笑わなくてはならないのなら
いっそ涙で洗い流してしまえばいい
世界を照らしているのだと
辺りを焦がしてしまうなら
その憧れは捨ててしまった方がいい
太陽になんかならなくたって
皆生きていけるのだから