草木も眠る丑三つ時。
頭上には暗い暗い空がぽっかりと口を開けていた。
「なぁ、これからどうする?」
ぽつり、と彼が呟く。
何も声量まで深夜に合わせなくていいのだが。
「どうするって、まだ遊び足りないだろ。」
今からカラオケオールしたっていい気分なのに。
「それはそう。」
「なんなんだお前。」
「いや、でもさ、どうせお前明日も誰かと会うでしょ。」
「俺ら体力もやしだもんなぁ……。」
「もう、帰るか。」
「…うん。」
「じゃあ…また明日。」
俺らに明日はないのに。
「どんな皮肉だよ。」
そう答えて、ふっと笑ってしまった。
─そうだな。お前は昔からそういうのが好きだったな。
「……また明日。」
─世界が終わるまで、残り、二日の出来事。
二人には二人の大事な人がいる。
だから、きっと明日会うことは無いのだろう。
ブランコを夜から漕いで漕いで、朝焼けを笑いながら待つような時間は、もうとっくのとうに過ぎて過去に溶けてしまった。
それでも、ただ、あの頃を忘れないように。
懐かしむように。どうか。
雲、霧、霞。
向こうが見えなくても、近づけばそれは透けている。
暗く沈んだ暗雲も、浅瀬の水が青いのも。
必ずそれは透けているのだ。
なら、もし心も同じなら。
私たちはきっと何色だろうが透けている。
さぁ、空に溺れるように、空を切るように生きていきましょう。
何色にも染まる昼夜は確かに透けているから。
それほど美しいことはないのだろうから!
─どうか、理想の世界に!
どのヴィランも。どんなかっこいい悪役も!
うわ言のように繰り返し、やられていく様はもう見飽きたでしょう?
ねぇ、ヒーロー。
世界の理想の貴方。早く一人になって!
貴方が理想を押し付けられる前に!
卒業式で別れたあいつ。
1年の頃に一緒になってともだち。進級してからはすれ違う度に会話する程度の仲になった。
めちゃくちゃ良い奴だった。ありがとう。
卒業式の日。その日は曇りだった。終わったあとの校庭。3年の頃仲良くしてもらった人と写真を撮って、最後の思い出にした。3年間過ごした学び舎は隅々まで思い出せる。でももう少し探検しておけば良かった。
写真撮影も、ここでの最後の友達との会話も何もかも終えてさぁ帰るかと思ったその時、やつと目が合った。でも話しかけに行くには少し遠い距離。すれ違ってればきっと会話をした。もう卒業かーくらいのくだらない話を。きっと頑張れよ。をお互いに送りあった。でもそれをするには遠かった。互いに駆け寄って話しかけに行くくらいの関係性では無かった。その気軽さが心地よかった。だからよっ、と軽く手を振った。大きく。やつも返してくれた。それでやつとの関係は終わった。
連絡先を交換してないからどうしているのかは知らない。