そうやって見てくるじゃん
クリスマスの時期 たぶん4,5歳ころ
テレビでやってた中東の紛争のニュースを見た
土埃色の戦車が並んでごろごろ進んでた
そこに人の死があるのを感じとって泣いた わめいた
あれが人から奪うものを想像すると
怖くて怖くてからだがはちきれそうだった
「戦争をなくしてください」ってサンタさんに手紙を書いた
あのとき感じた「そんなのだめだ」って気持ちを
絶対に忘れちゃいけないと強く思うばかりのここ数年
「そんなのだめだ」が無くなった世界で生きれるように
おととしに行った港町はよかった
こぢんまりして穏やかだった
長い波止の端で 係船柱に腰かけて
日が暮れるのをぼんやり眺める時間はよかった
遠くに見える向こう岸に
点々とつらなる車のライトがなんかよかった
夜なると真っ暗だった
防波堤沿いに歩いてると
高いコンクリートの向こうから波音がきこえた
並んだ街灯が頭上と足元から 防波堤を指すように
すーっと灯りを落として 光の帯だった
影と交互に等間隔に続いて 縞模様をつくってた
誰もいなくて静かだから
自分が外の世界に拡張されたみたいだった
早起きしてつっかけのまま散歩してたら
猫に膝上を奪われた かわいかった
あったかいかたまりが呼吸するたびに
膨らんでは萎むのは 見てて飽きなかった
泊まった宿に置かれてた
えんじ色の掃除機をまだ覚えてる
どこにいても波音がきこえる気がする港町だった
また行きたいね
更衣室にこもるシーブリーズのまざったにおい
うちの部屋のカーテンがさー や 実家の
くすみ紫の花柄で ぜつみょーにぱっとせんの
物置きにしてた頃のまんまで
変えてほしいってずっと言ってたのに
結局変えてもらえんままだった
なんか 忘れられんくて
実家帰るたんびに あー変えてもらえなかったんだよなーって
なんかあの頃のがっかり感てゆーの?
がくるんだよねー