金雀花

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9/9/2024, 9:59:09 AM

『胸の鼓動』

片付けをしていたら
昔の診断書が出てきた

いまも変わらずある

好きな人が近くにいる高鳴りとか
みんなの前で喋らないといけない緊張とか
そういうものは全く違う

ドクドクッと
数回乱れ
何もなかったように治まる

ときには繰り返されるそれに
もう慣れたつもりではいるけれど
自律できないことがもどかしくて

それでも
そんな不器用な身体が愛おしい

9/8/2024, 9:05:47 AM

『踊るように』

小説の一文が
その後の生きる道筋になることがある

ずっと昔に読んだ
『誰よりもうまく踊る』
というフレーズが
急に浮かぶときは
わたしはうまく踊れているか?
自分を見直すときだと
なにかに伝えられているように感じる

9/6/2024, 8:20:10 AM

『貝殻』

海の近くで育った
わたしの記憶の始まりの頃
モンペにエプロン、姉さんかぶりをした
小柄なおばあちゃん達が
たくさんのシジミを
小刀を使い身と殻に分けるのを
2つのザルに身と殻が溜まっていく、
その速さに釘付けになり
ずっとしゃがんでみていた。

目の前にじっと座り込んでいたちいさな子は
おばあちゃん達からみたらどうだったんだろう?
作業の邪魔ではなかったか、
大人になったいま思う

と同時に
大人になった私の目に
おばあちゃんと小さな女の子の
姿はとても愛おしく見えるだろう

9/4/2024, 3:47:01 AM

『些細なことでも』

心が弱っているときは
些細な言葉が引っかかる

美容院で
色を決めきれなくて悩んでいると
「時間もないので切りながら考えましょう」
の、
「時間もないので」が引っかかり
施術中ずっともやもや

不快に感じたわけではなく
少し時間が経った今
何故それが引っかかったのか
わからない

けれど、もう行かないかも、とは思っている
数日経っても鏡を見るたび
違和感を覚える

9/3/2024, 9:50:04 AM

『心の灯火』

大切に点けた火は
大切に心の奥に
わたしだけがわかる明るさだけど
何気ない言葉でも
吹き付けられて消えるのが怖いから
わたしの中に灯る火があることは
誰にも悟られないように
不規則に揺らぐ火を
両手でそっと包むように

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