8/18/2024, 6:15:07 AM
『いつまでも捨てられないもの』
親から頂いたものたち
親の匂いがするもの
初めて一人暮らしをするときに
母が買ってくれたフライパン
同じ趣味を持つ父が
撮ってくれたDVD
夫婦で旅行に行ったときのお土産
直筆の手紙
写真
洋服
・・・
引っ越しのたびに
思い切って捨てようと
どこかで見切りをつけないと
と思うのだけれど
結局
箱の中にそっと忍ばせる
8/16/2024, 3:16:39 AM
『夜の海』
今年の秋、ついに終わってしまう舞台の
終盤にかかる曲
いつ消えるかわからない主演の
全てを燃やすような振り付けと
衣装の赤
背景の海に浮かぶ月はいつの間にか消え
それを後ろの少し高いところから見ている
引き継ぐべき彼ら
その立ち位置の美しさに
何度観るたび
そしてそれを思い出すたび
胸の奥が揺れる
8/15/2024, 3:25:45 AM
『自転車に乗って』
自転車で通える範囲で
今の職場を選んだ
出勤は上り坂
退勤は下り坂
帰りに
その日の気分でスーパーを変えたり
本屋に寄ったり
友だちと会ったり
わざと知らない道を選んだり
なにより
朝少し早く出て
好きな場所へ寄り道してから出勤するのが
こんなにも満たされることを
自分だけの楽しみを
新たに獲得した幸せ
8/13/2024, 3:25:17 PM
『心の健康』
追い込まれたとき
煮詰まったとき
嫌なことが重なった日
家に帰ったら
足の裏をよく洗って
ひたすら眠る
寝逃げする
なんで足の裏なのかは
自分でもわからない
8/13/2024, 9:15:57 AM
『君の奏でる音楽』
高校生の頃、男子校の文化祭に行って
ベースを弾く姿に一目惚れした
全く知らなかった、外国のベーシストの
弾き方を真似していると聞いて
そのバンドのCDを聴いた
映像を探して見た
その恋は叶わず
彼の名前も忘れてしまったけれど
あの頃聴いていた音楽たちを耳にすると
もうどこかに置いてきたはずの
高校生らしい切ない感情が
胸のどこかにしまわれているのを感じる