8/28/2021, 10:09:33 AM
─突然の君の訪問。─
陶器でできたコップが割れる音がした。
焼けたトーストの匂い
コポコポとお湯が沸く
ドアに立つ人物を
ただ僕達はじっと見入る
当の本人はただへにゃっとわらった
5年前に消えた君が帰ってきた
みんなは幽霊かもしれないと
彼によじ登ったり
ほっぺをつまんだりする
本物だった
君の手には花が抱えられていた
枯れた花だった
8/25/2021, 12:22:28 PM
─向かい合わせ─
椅子に座る
花の装飾の施された縁のある鏡
私の顔が映る
白い狼の面をしていた
顔を触る
指先が薄い皮膚に触れる
何も無い
そしてまた鏡と向かい合う
8/21/2021, 10:56:47 AM
─鳥のように─
あの子はヨタヨタとしか走れず
髪はボサボサとして
キョロキョロと目を動かして
ぅ…ぁ…としか話せない
そして檻の中にいる
パンを食べて
水を飲む
私は初めて会った時
呆然と立ち尽くしてしまった
7/30/2021, 10:10:51 AM
─澄んだ瞳─
青い湖のような目をしていた
彼女は走るのが好きだった
事故にあって僕が彼女の足となって
車椅子で色んな場所に連れていった
どんな時も笑顔を絶やさなかった
最期に僕を見つめたあの瞳を忘れられない
7/27/2021, 10:10:40 AM
─神様が舞い降りてきて、こう言った─
もう、後には引けないよ