この間、動物園でサイを見た。
サイは、大きな木の横で
おもちゃを使って遊んだり、
小刻みにゆっくり体を揺らしたりしていた。
ゆっくりゆっくり体が揺れて
そのたびに少しだけ土が舞った。
自分が仕事をしたり、失恋したり、
美味しいものを食べて少しだけ前を向いたり
たまにまたクヨクヨしたりする間に
サイはこんな風に時を刻んでいたのだと思った。
家中の窓を締めて回る夢を見た。
はやくしないと、外から魔犬がやってくる。
2階の窓も閉めないと、
よじ登って入ってくる。
全部の窓を閉めたら暑くなって、
クーラーをつけなきゃと思った。
そのときに、インターフォンが鳴った。
祖母が帰ってきたのだ。
すぐに鍵を開けて、中に入れると
その後ろからぞろぞろ集団が入ってきた。
何やら家の中で会議をはじめ、
次はこの人たちをどう追い出すかだ、と思っていた。
帰り道、湿度の高い駅までの道のり。
ふと、懐かしい匂いがした。
たぶん、2〜3年前によく使っていた
柔軟剤の匂い。
前を歩く誰かの服から、
ゆるやかに広がって鼻腔に届いた。
にぎやかだった記憶の中の夜
いまは距離があいた人が隣りにいたことを思い出す。
鼻が詰まるような、胸がいっぱいになるような
居心地がいいような
いますぐ逃げ出したくなるような夜
もう会うことはないのね、さようなら、と
ありがとう、これからよろしくね、の夜
もう二度と味わえないような、
これから幾度となくくるような、
もっとワクワクするような、
本当につまらない大したことのないような、
そんな夜が明日も来る。
夏になると冬の寒さを思い出せなくなり、
冬になると夏の暑さを思い出せなくなる。
季節はまわりまわるのに、
そうこうしているうちに
だんだん知らない季節が増えていく。
職場で、今まで全然意識していなかったのに
急に気になりだした人がいて、
金曜日の夜からはじまり
土曜日になっても思い浮かんで
日曜日には、思い出すと幸せな気分になった。
月曜日なのに、少し気持ちが軽い。
これはもしかして恋なのか。
心を覆っているすべての衣をはがして
本心と向き合いたい。