最近いつも電車が混んでいる
そんな朝、ふと昨日と同じ人が
目の前に座っていることに気づく
何か熱心にクロスワードに書き込んでいるようだ
縦の文字と横の文字が交わって
言葉が浮かび上がる。
文字がだんだん埋まっていくうちに
駅のホームから人も乗り込んできて
電車もぎゅうぎゅう埋まっていった。
文字たちは窮屈そうに四角の中に収まっていた
海外に行きたくて
知らない言語のなかで
赤ちゃんみたいに1からスタートしてみたい
異なる文化に触れて
自分の中の好奇心のままに振る舞う
実際にはそんなお金も時間もないけれど
考えるだけで、なんとなく幸せになる
人を見て羨ましがる事もあったり
焦ることもあったりするけど、
ぜんぶ春のせいにして、見ないふり!
半袖と長袖をいったりきたりするのが
一番つかれる季節
こんな時は、会議を抜け出して
でっかいシャボン玉でも飛ばして
たっぷり遊びたい
終わりのささやきが、
どこからか聞こえてくる
もう終わりなんだよ…
もう取り返しがつかないんだよ…
もうあの頃には戻れないんだよ…
木の陰からそっと、紙の折り目からそっと
たしかに聞こえる。
それでもやっぱり、
終わらせるのは自分だから。
まだ簡単に終わらせることに納得していない。
私の心がそう動くから。
心がへこたれない限り、しぶとく続けたいんだ。
来世ではよろしく!
そっちではその選択肢をとるかもね
でも、今は最大限自分を納得させるために
生きてるから、まだまだ、終わらせたくないんだ
星の明かりに照らされて、
1台の自動販売機が駐車場の脇にたたずんでいる。
今日は風が強い夜なので
近くの公園の木が音を立てて揺れていた。
そのとき、一人の女の人がベンチに座り
ハンカチを片手に泣いているのが見えた。
最初はシクシク泣いていたが、
次第にわんわんと大泣きしているようだった。
女の人の泣いている音をかき消すように
風がゴーゴーわめいている。
自動販売機は
女の人がちゃんと帰れますように、と
その人の背中をじっと見つめていた。