カフェで向かい合って話すより
隣に座ってベンチで話したほうが
本音で話ができるとおもう
私たちは目と目でテレパシーできないから
価値観が合おうが、合わなかろうが
話し合うべきとおもう
ふたりの将来がどうなろうが
もっと泥臭くコミュニケーションしたいんだよ
何を話そうか迷っていたあのときは
ベンチに座った2人の影も
ゆらゆらしていて愛おしかったね
今はもうお互い嫌いになってもいいから
話そう、とにかく。
終わりに近くことを恐れないことが
希望にいちばん近づく手立てだよ
学生時代に、有名な小説を読んだことがある。
生涯で一度は必ず読むべきだと聞いたから
この機会に読んでおこうと思った。
長く静かな小説で、何か激しい展開はなく
穏やかな海に浮かぶ浮き輪のように
少しだけぷかぷか感情が浮き沈みする話が長く続いた。
おそらく、学生だった私のほうが
その小説よりも
喜怒哀楽の豊かな毎日を送っていたと思う。
私はときどき思い出しては、続きを読んだり
読まなかったりして物語を紡いだ。
そして、小説の最後のページが訪れた。
その小説の最後には、
落胆と喜びが同時に押し寄せるような
バッドエンドでもハッピーエンドでもあるような
死と生とが訪れたような文章が締めくくられていた。
私はしばらく呆然として、本を閉じた。
小説が終わったことで、
はじめて何かが始まった気がして、思わず目を閉じた。
お気に入りのティーセットを取り出し、
真夜中ひそやかにお湯を沸かす。
ぐつぐつとだんだん大きくなっていく音に
ぼんやり耳を傾けて、
夜の訪れとあたたかな孤独に身を委ねる。
冷蔵庫からミントの葉を取り出し、
お湯を注ぐとふわりふわりと葉が舞い上がった
真っ白なカップに注ぎ入れ、
静かな夜のぬくもりに浸るのだった
遠くから汽車がやってきました
大きな音を立てて、
だんだん近づいてきます
ものすごい迫力に、野花はざわめき
鳥は飛び立って、少し離れた木から見守っています
そのうち、汽車は遠ざかり
またいつもの静寂が訪れるのでした
春の恋は、坂を駆け上がっていくような恋だと思う
息切れしそうな坂を思いっきり駆け上がって
駆け上がって、駆け上がって
そこから先は、坂ではなく
ゆっくりとしたスロープかもしれないし
階段が続くかもしれない
いきなり下り坂になっているかも、、
とにかく春の恋は先の見えない
急な坂道なのだ