ミツ

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9/16/2024, 11:24:30 PM

「どうしたの?」

真っ黒な毛皮を被った熊は言いました。

さっきまで出てきていた太陽はいなくなっています。

「あぁ、君は僕の友達だよね?」

安堵したように息を吐き出し空は熊に聞きました。

「うん」

熊が頷くと空はますます激しく泣きました。

「いったいどうしたの?」

「熊くん、君は僕の話を聞いてくれるかい?」

熊は返事の代わりにじっと空を見つめていました。

目の中に空の涙が入ってきてもけして視線を逸らそうとはしません。

「皆、僕の事を嫌うんだ」

ゆっくりと話し出した空は少し泣き止んでいました。

「太陽くんは僕の事が嫌いなんだよ」

熊は少しびっくりしました。

「君達は月が来るまで一緒にいることもあるじゃないか」

「そう、だけど僕は泣き虫だから太陽くんの仕事をしょっちゅう遮ってしまうんだ」

「……」

「それに、雲くんにも嫌われてるんだ」

熊はもっとびっくりしました。

「今だって一緒にいるじゃないか」

「雲くんは僕が泣くのが鬱陶しいんだって」

「………」

熊は面倒になってきました。

「月くんも僕が嫌いなんだ、星くんも、宇宙くんも」

そして、空は一呼吸おいてこう言いました。

「君達も僕が嫌いなんだろ?」

「まさか、少なくとも僕は君が大好きだ」

「どうして?」

空は泣き止み太陽が顔を出しています。

「僕はね」

熊が真っ黒な毛皮を脱ぐと美しい虹色の体が露わになりました。

どんどんと大きくなっていきます。

「僕はね虹なんだ、君達がいないと出てこられない」

太陽は嬉しそうに微笑み、空はびっくりして固まっていました。

                              ー空が泣くー

気が向いたらちゃんと書きます。

9/11/2024, 9:25:57 AM

※フィクションです

「これは凄い代物だよ」

言われて買ってしまいました。

物凄い価格で、あれが僕の全財産でした。

雨の音が好きです。

匂いは嫌いです。

だからいつも室内で見ます。

窓に打ち付けられる音を聞くのが楽しみでした。

その音につられて、お父さんが帰ってくるからです。

ポチを連れて。

ポチとは飼っている犬のことです。

きっとポチもこの音が好きなのでしょう。

お母さんはお父さんとにらめっこをします。

それも決まって、ポチが家の中に入ってくる時です。

だけど、その顔があまりにも怖いので二人は一向に笑いません。

僕も笑えません。

そそくさとリビングを去ります。

少しすると僕の部屋にも聞こえるくらいの大きい声が聞こえます。

お母さんの声です。

お母さんの声は高くて、近くで聞いていたら耳がキンキンすると思います。

たまにお父さんの声もするけどその声がいつものお父さんとは違い、あまりにも低いのでなんて言ってるか聞き取れません。

ただ、お母さんの言葉からポチの話をしているのはわかります。

風船が割れる様な音がする事もあるのできっと遊んでいるのでしょう。

ポチの鳴き声も聞こえます。

余程楽しいのかその声は次第に小さくなります。

鳴くことを忘れているのでしょう。

する事が無くて暇な時は僕の全財産で買った“四つ葉のクローバー”というのを見ます。

三つ葉しか見たことが無かったので、見た時は凄い興奮しました。

そんな四葉が、お母さんに見つかった時強引に取り上げられました。

お母さんも見たことが無かったのでしょう。

四葉は返ってきませんでした。

ある日友達と一緒に学校から帰った時買い食いをする事になりました。

会計をする時になって初めてお金が無いことに気が付きました。

友達にあの五百円はどうしたんだと聞かれたので、事情を話すと笑われました。

そんなのどこにでも生えてる、と言われ、そればかりでなく四葉のクローバが出来る仕組みを教えてもらいました。

ショックでしたが同時にお母さんが可哀想になりました。

僕は早い段階で知れて良かったです。

ポチがいなくなりました。

お父さんには“ここよりもっといい場所へ行って幸せに暮らしている”と言われました。

お母さんには“死んだ”と言われました。

どっちを信じればいいでしょうか。

でも、あんなにポチと一緒にいたお父さんが言うなら、きっと幸せに暮らしているんでしょう。

ポチは僕の友達でした。

ポチがいなくなって、お母さん達がにらめっこする事も無くなりました。

同時に会話をしている場面を見るのが少なくなりました。

小学何年生かになった時、お母さんが僕に言いました。

「お母さん、旅行に行ってくる」

お父さんは言いました。

「お母さんは長い間旅行に出るからしばらく会えなくなると思う。それが嫌ならお前もついて行って良い」

別にお母さんが数日帰ってこないなんて日常だったので首を横に振りました。

それに、お母さんはお母さんじゃ無くなることがあるので、それも嫌だったのです。

僕は思っていました。

お父さんといれば安全だと。

お父さんがはお母さんよりも力が強かったからです。

それから、お母さんは僕が中学生になって一度帰ってきました。

その間、お父さんの口数は減っていきました。

お父さんのお腹は膨らみ清潔感が無くなりました。

いつもの優しいお父さんはいなくなりもはやお母さんと同じになっていました。

僕が体につねに痛む青黒い模様を付けて登校すると、友達にはバカにされ先生はよそよそしくなりました。

高学年になるごとに友達が僕に話しかけてくることが減りました。

しかし、友達だけでなく先生も変わりました。

僕に普通に接してくれるようになったのです。

僕の身体の模様に何も言ってくることはなかったし、お父さんになにか言う事もありませんでした。

そんな先生を僕は慕っていました。

                             ー喪失感ー

こんにちは。唐突ですが続きは皆さんに考えていただきたいです。

これからも書きやすいお題がきたら書こうと思っています。
最後まで見て頂きありがとうございました。