Seaside cafe with cloudy sky

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7/5/2024, 5:07:50 PM

【星空】

都会住みでもないですが、適度に汚染された空の地で育ち、夜空には数える程度の星しか見たことなかった若かりしころの自分は、いつか満天の星空を見てみたいなーと憧れていました。ロマンあふれる雄大な宇宙の神秘、じかに目にできたらさぞ感動するだろうと、ずっと夢見ておりました。
それから時は過ぎ、社会人となってポツポツと旅に出るようになったころに、ようやくチャンスが到来しました。
N県の花と回廊で有名なお寺近くの宿に泊まった時のこと。旅の疲れですぐに寝付いたのですが、なんの拍子か突然真夜中の三時頃に目が覚めてしまいました。そしてふと、ここが街から離れた自然あふれる山の中だということを思い出し、もしかして満天の星空が見られるかも!と思い立って期待しつつ窓を開け、夜空を見渡してみました。
すると予想通り……というより、予想を遥かに上回る想定外の光景がそこにはありました。
見慣れない巨大な大きさの星がいくつもあり、それよりは小さい星も無数にウヨウヨとあって、それらが強烈にギラギラと不気味に輝いて夜空に所狭しとひしめき合っている……そんなおぞましくも禍々しい眺めが目の前に広がっていたのです。
――満天の星空って、こんなにも気味の悪いものなの――?しばしドン引き状態で呆然と眺めていましたが、ちょうどその時に流れ星、火球らしきものが現れ、その迫力と恐ろしさに震え上がり、急いで窓を閉め布団の中へ潜り込み、早く夜が明けることを願いながら眠りました。
その体験以来、夜空に浮かぶ星はおろか、月までも見るのが恐ろしくなってしまった次第……調べてみると「星空恐怖症」なる症状があるとか。満天の星空へのロマンは全人類が共通に持っている感情だと思っていたのに……いや、もしくは星空恐怖症なる私のような存在は人類外なのかも?まあそんな自覚は多少ありますが……(´Д`;)
あんな禍々しいものが常に頭上に漂っているなんて ―― 悪夢のようなあの光景を思い出すたび、考えるたびに憂鬱になる。ロマンチシズムを欠片も持ち合わせていない、超残念な私の身の上話でした(ー_ー;)

7/4/2024, 2:49:28 PM

【神様だけが知っている星空】

coming soon !

7/3/2024, 3:19:25 PM

【この道の先に神様だけが知っている】

coming soon !

7/2/2024, 8:05:45 PM

【日差し】

◀◀【現実逃避】からの続きです◀◀

畑が延々に続くのどかな光景のなかを、鼻唄まじりでアランは車をひた走らせる。たしか「この道の先に」は小さな町があったはず ―― 記憶をたよりに頭の中で地図を思い浮かべる。そろそろお昼時、休憩を兼ねてその町で食事をしよう。どんなレストランがあるだろう?おもしろい観光スポットはあるかな?期待を膨らませながらしばらく行くと、前方に荷物を積んだ小型トラックが道からはずれて停車しているのが目に入った。傍らには作業着姿の若い男が立っていて、アランの車に向かって大きく手を振り呼び止めようとしている。なんだろう……なんだかかなり困った顔をしている。ガス欠でもしたのだろうか?新手の路上強盗の可能性もある、用心しながらスピードを落とし、アランもトラックの近くに車を停車させた。すると作業着の男は急いで駆けつけてきた。
「どうしました?なにかトラブルでも……」
ほんの少しフロントドアのウィンドウを下げて訊ねると、男は必死にウィンドウに縋りついてアランに訴えかける。
「お願いします、どうか助けてください!いますぐ、大至急、納品と病院、両方行かなきゃならないんです!!」
「……え……?」
思いもよらない懇願要請に理解がすぐには追いつけず、束の間アランは、ひよこ色の男の髪が陽光を受けてキラキラ輝くさまを、丸くした目で呆然と見つめ返すことしかできなかった。

▶▶またどこかのお題へ続く予定です▶▶

7/1/2024, 1:12:45 PM

【窓越しに見えるのは】

なんてことだ!本当に吸血鬼がいるなんて!
僕は今、廃墟となった深夜の古城の一室に立て籠もって孤独に震えている。なぜかって?細かい経緯をはぶいて説明すると、僕の長所でもあり残念な短所でもある、活火山のように勢い激しい好奇心に衝き動かされたことと、短所でしかない類まれな不幸きわまるめぐり合わせが積み重なった結果によって、この古城に住みついている吸血鬼と宿命的な邂逅を果たしてしまったからだ。あの血の気の失せた不気味な肌の色、時代がかった耽美な衣装、獰猛で常人離れした怪力……まぎれもなく人外のモンスターだった。あんな魔物からここまで逃げおおせられたのは奇跡としか言いようがない。這々の体で今ひそんでいる隠し部屋を偶然さぐり当てて、こうして震えながらひたすら朝がくるのを待っているってわけ。なんてったって吸血鬼の弱点の一つは太陽の光だからね。夜が明ければあいつはイヤでも僕の捕獲を諦め、大嫌いな光から逃れるために、大人しくねぐらへ帰るしかないはず。無謀に戦うより籠城戦で逃げ切るほうが生還できる確率は高い!このかくれんぼゲームは僕の勝ちで終わらせてやるんだ!さあ、あとどれくらいだ?腕時計を見て時間を確認すると、ようやく午前の1時台……長丁場の根くらべになるな。アラームを3時間後ぐらいに設定して、少し眠って時を稼ごう……今はまだ、鉄格子のついた小さな窓から漏れてくるのは淡い月の光だけれど、目覚めたとき真っ先に目にするのは、夜明けのまぶしく神々しい「日差し」でありますように ―― それじゃ、おやすみなさい。僕の幸運を祈っててね ――

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