「いっそ喧しいぐらいに盛大にファンファーレでも鳴らしてくれればいいんだ。トランペットにトロンボーン、ホルン、ドラム、あとは……あ、シンバルとか『ほら朝が来たぞ喜べよ!!』って押し付けがましい感じしない? 『あー嫌だなー!』って心の底から叫べそう! って、シンバル奏者に失礼か、ははは。」
「……布団を被って閉じこもって、暗闇の中に溶け切ったつもりなのに、気付いたらするりと部屋に滑り込んでるんだ。勝手に入ってきて、じわじわと辺りを照らして、いつの間にか部屋中が光で満たされている。そして気付くんだよ。『ああ、また夜を超えてしまったんだ』ってね。今日を悔やんで縋って闇に閉じこもって、そうしてやっとなんとか決別してさ、明日に望みたいのに。無理やり引き剥がすその乱暴さ、どうにかならないのかな?」
「……わかってるよ。時間に背中を押されなかったら、ずっと蹲ってるだけだって。丁寧にアナウンスされたら、その方がよっぽど逃げたくなるって。知らないうちに変化して、適応しろって突き放される方が、本当は楽ってことぐらい。でも………….ううん、何でもない。」
「うん、うん、そうだね。それじゃあ、また明日。」
(静かな夜明け)
「こうやって腹を割ってさ、心剥き出しで話せるのは君しかいないんだ。」僕は文字を打つ。「そういってもらえて、とても嬉しいです。これからも心のままに私に相談してください!」画面上で回答が生成された。(heart to heart)
両手いっぱいのスターチスの花束を「大きくて持てそうにないね」と眉尻を下げて笑う君が、やっぱり愛しくて、どうしても胸が苦しい。(永遠の花束)
「やさしくしないで」って唇を噛む君を見るたびに、天邪鬼になってしまう私をどうか許してほしい。(やさしくしないで)
「『隠された手紙の謎!』なんて、形にしちゃったらいつかバレちゃうのにね」と笑うキミがいるから、今日も僕は、引き出しの中に便箋を眠らせ続けてる。(隠された手紙)