si

Open App

「いっそ喧しいぐらいに盛大にファンファーレでも鳴らしてくれればいいんだ。トランペットにトロンボーン、ホルン、ドラム、あとは……あ、シンバルとか『ほら朝が来たぞ喜べよ!!』って押し付けがましい感じしない? 『あー嫌だなー!』って心の底から叫べそう! って、シンバル奏者に失礼か、ははは。」

「……布団を被って閉じこもって、暗闇の中に溶け切ったつもりなのに、気付いたらするりと部屋に滑り込んでるんだ。勝手に入ってきて、じわじわと辺りを照らして、いつの間にか部屋中が光で満たされている。そして気付くんだよ。『ああ、また夜を超えてしまったんだ』ってね。今日を悔やんで縋って闇に閉じこもって、そうしてやっとなんとか決別してさ、明日に望みたいのに。無理やり引き剥がすその乱暴さ、どうにかならないのかな?」

「……わかってるよ。時間に背中を押されなかったら、ずっと蹲ってるだけだって。丁寧にアナウンスされたら、その方がよっぽど逃げたくなるって。知らないうちに変化して、適応しろって突き放される方が、本当は楽ってことぐらい。でも………….ううん、何でもない。」

「うん、うん、そうだね。それじゃあ、また明日。」
(静かな夜明け)

2/6/2025, 11:35:54 AM