貴方は、私にとって理想。
優しくて、笑顔が素敵で、協調性が高くて、頭がよくて、全部私の理想。
でも、その理想に隠された貴方の苦悩は、誰にも知られることは無い。
それに気づいた私に、貴方はありがとう、ありがとうと感謝と涙をこぼした。
理想のあなたは、意外と、弱くて、儚くて、それでも美しい人でした。
それは、死とか引越しとか、そういう物理的な別れではなくって、貴方は近くにずっといた。
「話しかけないで」
それは突然来た。
心当たりはあった。本当に小さなことが、積み重なっていたのかもしれない。
私は、人と付き合うのが下手くそだったから、貴方を沢山傷つけていたのかもしれない。
それから、私は嫌われていると心のどこかで常に思うようになっていた。
幼い頃からあった、無自覚な自信とのお別れ。
それは突然来た。
でも、新しいものとも沢山出会った。
だから、貴方にはとても感謝してる。
っていえるほど、私の心は美しくない。綺麗じゃない。
ごめん、もう貴方の近くにいたくない。
最近は沢山話しかけてくれたのに、ごめん。
『もう話しかけてこないで』
恋物語はあまり好きではない。
ハッピーエンドでも、バッドエンドでも。
好きという純粋な気持ちを、へし折られたことがあるから。
なんで、こんな人を好きになれるのかが分からなくて、読んでて辛くなる。
好きな気持ちなんて、報われることの方が少ないって思うようになってきてから、恋物語を読まなくなっていた。
どうせ、どうせ、って心がひねくれた。
でも、またいつか純粋な気持ちで恋物語を読めたらなって、思ってます。
静寂に包まれた真夜中。
昼では気にならなかった、車の音でさえもうるさく感じる真夜中。
朝になったら、何をしようかと構成をねって、でもその通りに一日は過ぎない。
真夜中に湧き出てくる感情は、明るくなると消滅してしまうから。
真夜中は、本当の自分が好きにしていい時間。
本当の自分と向き合える時間。
愛があれば何でもできる?
「何でもとか言われたらはいって言いにくいよねー」
「じゃあ、どのくらいできる?」
「うーん、小さじ一杯分くらい」
不思議な言い回しをするもんだから、よく分からなかったけど、私は分かった振りをした。
「愛だけじゃなくて、他にも欲しいよね」
「何が欲しいの?」
「娯楽とお金とやりがい」
「それらがあれば、頑張れるの?」
「そんな気はする。そんな恵まれた環境にいなかったから分からないけど……」
「きっと、他のものも手に入れたくなるんじゃない?」
「はは、じゃあ愛だけじゃ無理だね。当たり前になった時、ほかのものが欲しくなる」
でも、それが悪い訳でもないと貴方は付け加えた。
欲しいものを手に入れるために頑張る……理由があればいいよね。
その理由が、もしかしたら愛なのかも。