今日は、いい夫婦の日。
世間ではそういう日らしく、スーパーではワインが半額になっていたり、花屋も少し値引きをしている所が多くなっていた。
まぁそんな私にも一応、夫はいる。でも、なにせ世間知らずでそんな日だとは全く知らなかった。
だから、夫が急に、バーに行こうだなんて言い出しとき、首を傾げてしまった。
「今日、なにかの記念日だっけ?」
「いいや。今日はいい夫婦の日なんだよ」
「いい夫婦の日……へぇ、知らなかった」
「だから、あの時のようにバーでまたお酒でも飲まない?」
「……いいね」
いい夫婦の日にバーに行く夫婦って、他にいるだろうか?でも、何となく懐かしい気がした。
あの時は少し背伸びをして、夫をバーに連れて行って、飲みなれてないカクテルを飲んで……。
少しは、私と貴方は、大人になれたのかしら。まだ1年も経っていいけれど、来年はもっといい夫婦になれてるといいな、なんて、ね。
従うしか無かった。
嫌でも、心がのぞけてしまうの。
どんなに頑張っても否定された。
愛されたことなんてなかった。
だから、心を無にして従った。
だから、聞こえないふりをしようとした。
だから、諦めた。
だから、依存してしまった。
そんな私たちは、これから「どうすればいいの?」
私たちの宝物は、何も変わらない日常なんです。
キャンドルに、小さな命を灯す。中くらいのものと、小さいものを可愛く並べて。
ふたつのキャンドルは、ゆらゆらと揺れながら、瀕死ながらも必死に生きようとしている兄弟のように思えた。
今にも消えてしまいそうな儚い命。
そんな小さな光を頼りに、私は文章を書く。
ストーブもない、電気もガスも止められたのの家で、ただひたすらに。
私には、それしか出来ないのだから。
箱の中に詰まった沢山のおもちゃ。
その中には、ネズミやボール、紐部分と棒が分断された猫じゃらしが入っている。
そのおもちゃ箱の中に入っている、たくさんの想い出。
そのたくさんの想い出を、捨てられないでいる私。
楽しい想い出なのに、なんで涙が出てくるんだろう。