あひる

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10/28/2024, 12:02:04 PM

暗がりの中で


「ずっと一緒にいよう」
「うん」
 

 花火大会の帰り道、約束した。


 次の年、その次の年も一緒に見た花火。


 4回目。私はベッドの側に座って、大きな窓から一緒に見た。


「……来年も見れるかな」
「きっと見られるよ……」


 初めて一緒に見た場所にひとり。

 見上げた花火は滲んで見えた。
 


               

10/27/2024, 12:38:54 PM


「あったか〜い」
 
 駅のホーム。自動販売機のボタンを押した。
 
「オレはレモンティーだな。ユミは?」
「私はホットココア」
 
 熱いぐらいのペットボトルのフタをあけ、ゴクッとひと口飲んだ。
 
 雪が降ってきた。
 
「寒いね」
 
 彼がぴったりくっついて来た。ほのかに香る紅茶の香り。見上げて笑いあった。
 
 風が強く吹いた。彼の制服のネクタイに雪がついて、手袋をしたままの手で払ってあげた。
 
「あ、ありがとう」
「ダウン、前、閉めたら?」
「だな」

 寒いはずなのに、温かかった。

 ――ずっと続くと思っていた。

  


「何がいい?」
「うーん、私はココア」
「じゃ、オレはコーヒー」
「あ、やっぱりレモンティーにする……」
 
 思い出したくなった……冬の香り。
 
 

 

10/26/2024, 2:48:45 PM

ド正論はいらない!