"最初から決まってた"
最初からわかっていたんだ。
俺らがこの試合で負けることなんて、
残り時間7分で3点も点差がある。
最後の大会なのにあっけなく終わるんだな…
そうだ、負けなんて最初から決まっていたんだ。
『お前らはそれで満足なんか?』
キャプテンが口を開いた。
『最初から決まってたんかもしれへんけどな、最後の大会、最高で終わりたいやん、本気でいこうや』
キャプテンに鼓舞され、俺らは一つになった。
こんな最高のキャプテンについて行くことは最初から決まっていたんだ
"鳥かご"
僕は幼い時から両親と3人で暮らしている。
生まれた時は本当の母と暮らしていたが、気づいたら僕は一人、施設にいた。
だからもう、小さい頃の記憶はない。
施設から助けてくれた今の両親にはとても感謝している。
でも、気になる点があるんだ。
この家に来てから、ずっと、僕だけ檻のような場所で暮らしている事だ。
最初は何も思わなかったけど、月日が経つにつれ段々気になるようになった。
ある日聞いちゃったんだ。
『あの子を野生に返そう。』
『そうね、もう立派な雄だもの。』
僕は野生のカモっていう鳥だった。
"友情"
『だって私たち、友達じゃん!』
中学で初めて、親友と呼べるような友達ができた。
その子の口癖がそれだった。
どんな時でも、その子との友情って何よりも優先しないといけない。
そう思っていたのは私だけだった。
私が、両親に頼んで買ってもらった洋服も、
新作のコスメも、限定のキーホルダーも、
その子は、私が持っているものを全て欲しがった。
『だって私たち友達じゃん?』
全部その言葉で奪われていった。
そして、ある時、あいつは私の彼氏を欲しがった。
『ねー、いいじゃん?彼かっこいいもん。
欲しいなぁ〜、ねぇ?友達じゃん?』
そして奪われた。
私の中で何かが壊れた。
あー、もういーや、あんたの家族、友達、生活、
ぜーんぶ奪ってやる。
だって私たち、友達じゃん?
"今一番欲しいもの"
『今一番欲しいものは何?』
って聞かれたら昔の私は絶対『愛』って答えていただろう。
私は小さい頃、愛というものを知らなかった。
父は借金を残して消え、母は幼い私を家に残して男と遊び歩いていた。
小学校に上がって周りの子達が楽しそうに家族の話をしているのを聞くのが辛かった。
大きくなってからも愛が欲しかった。
ただ純粋に私という存在を愛して欲しかった。
だからずっと愛が欲しいと心から思っていた。
今、私は16歳。
もう、愛なんて諦めた。
こんな家族なんてどうでもいい。
いない方がよっぽどマシだ。
だから、今一番欲しいものは、
『新しい家族』
私は包丁を持ってキッチンにいる。
"私だけ"
私は小さい頃からいじめられていた。
小学、中学、高校、どこへ行ってもいじめ
理由は明白だ。
『見た目が普通じゃないから』
「普通」って何?
そんなに他の人と違うとだめなの?
ずっとそう思っていた。
でも、私は個性の塊だって気づいた。
他の人とは違う、私だけの個性がある。
普通じゃないとかどうでもいい。
何か言われても、気にしない。
個性のない人生ってつまんなそうだな、
私だけが普通じゃない、
けど、私には私だけの個性があって、
私の人生を楽しんでる。
人生、一度きりだし