"恋物語"
誰だって恋をしていいじゃない。
恋の力って結構すごい
16年間芋女だった私もたった一回の初恋で変わった
その人を目で追う
その人の好みの女子になろうとする
その人との共通点を探す
その人と勇気を出して話してみる
友達にインスタも教えてもらった
メイクも挑戦した
用事もないのにその人のクラスに行った
そのおかげか、お互いにからかいあえるほど仲良くなった
映画にも誘われた
あの人と付き合えたらと毎日思っていた
何度も告白しようか迷った
でも、全てが理想通りにはいかない。
その人は自分よりはるかに可愛くて、おしゃれで明るく、全てが揃った女の子と付き合った
その報告を一番最初に私にした
表面では笑顔で応援した
けれど、胸が握りつぶされるように痛かった
片思いって儚くて思う以上に脆い
思い返せば、私はずっと告白されるのを待っていた
友達に背中を押されても、あと一歩が踏み出せなかった
私が勇気を出して告白していたら
あの人の隣に居れたかな
"真夜中"
『ねぇ、明日さ、裏山の洞窟入ってみない?』
ホームルームが終わった後に紗奈が話しかけてきた。
「えー、あそこ出るって噂あるじゃん…
この間も近くで一人行方不明なってたし…
私そういうのマジ無理だから」
『大丈夫!他の子も誘うし、5〜6人で行こ!』
(まあ、大人数ならいいかな…)
「怖いけど、みんなで行くならいいよ、」
『じゃあ明日の21時に校門に集合ね!
親には内緒にしといてね!』
次の日
『あ!来たよ!もう、遅いよー』
「ごめんごめん笑」
(やっぱ怖いな、断ればよかった…)
「ここってな、高校生の霊が出るらしいよ」
健斗が洞窟の奥を指差しながら言った。
『ねぇーやめてよー、怖いじゃん』
そんな話をしながら洞窟の奥まで着いた。
しかし、霊は出ず、何も見当たらなかったので帰ろうとした時、ゴッという鈍い音がした。
視界が歪み、体が地面に叩きつけられた。
頭が生ぬるく湿っている。
横を見ると、みんなが私を見下ろしていた。
その顔は笑っているように見えた。健斗は大きな岩を持ちながら何か叫んでいた。
意識が朦朧としていく
呪いがかかったのか、元から計画されていたのか、
私にはもう考えられなかった。
"愛があれば何でもできる?"
愛があってもできないこともある。
もし、あなたが家族でも恋人でも、愛してる人に
『・・・私を愛してるなら、死んで?』
って言われたら分かりましたって言えますか?
愛してるだけでは
この世の全てができるわけではない。
でも、愛がないとできないこともある。
何かの原動力になって、体のどこからか
不思議とものすごい力が出てくる。
"愛があれば何でもできる"ことはないかもしれないけど、愛のおかげでできることもあると思う。